俺屍十周年祭『親馬鹿全員集合!』に投稿した、日下部家の14代目当主龍馬(り ょうま/男子1番/土髪火目火肌/大筒士)、左が15代目当主の伽羅(きゃら/女子 27番/土髪水目土肌/踊り屋)とです。二人は母を同じくする兄と妹です。 伽羅の母・朱鷺はぎりぎりの精神状態の中縋るような思いで交神に臨みましたが、 鬼のような角を持つわが子の姿に最後の拠所を失い、自我を崩壊させてしまいました。 朱鷺はこれは自分の子じゃないと言って錯乱し、龍馬は幼い妹を庇って母の投げつけ た椀を頭に受けてしまいました。伽羅は、自分に角があるせいで兄様が怪我をしたん だ、自分に角があるからいけないんだと思いつめ、龍馬が少し目を離した隙に自分で 額の角を切り落とそうとして大怪我をしました。だから龍馬には伽羅を守った時につ いた傷が右の眉の上に、伽羅には角を切り落とそうとしてついた傷が左の角の根元に あります。 本当に少し目を離した間の出来事だったため、まだ少年だった龍馬は大きなショッ クを受け、昔は優しく気丈だった母の豹変という出来事とあわせて、自分は絶対母上の ようにはならない、伽羅を悲しませたりしない、守ってみせると強く心に誓うようにな りました。伽羅の方は、来訪間もない頃から常に傍らにいて「お前は一人じゃない」と 言ってくれていた兄に対し、けして口には出しませんが次第に恋心を抱くようになりま した。 母の死後当主を引き継いだ龍馬は、一族を率いて戦っていきますが、神々の懐に飛び 込んでやるつもりで臨んだ太照天昼子との交神を境に人が変わってしまいました。 日下部家での昼子は、けして一族を利用するとかないがしろにするというつもりはな く、一族の立場を尊重するつもりでした。自分ひとりで全ての責を背負うつもりでもい たため、何を言っても言い訳になるだけだ、と判断して龍馬から「イツ花を使って自分 たちを監視していたのだろう」と問われた時にも取り立てて肯定も否定もしませんでし た。しかしそんな彼女のリアクションを、昼子がイツ花と瓜二つの外見であるショック から立ち直れていなかった龍馬は肯定として受け止めてしまい、知ってしまったことの 重大さに誰にも言えず苦しむことになってしまったのでした。 交神から戻った龍馬は、昼子との間に生まれた息子・蘇芳が昼子と同じ色の瞳をして いることを理由に、昼子の目、昼子の傀儡だと言って折檻するようになってしまいまし た。そんな龍馬の豹変に戸惑いながらも伽羅は必死になって兄を支え、自分にとっては 甥にあたる蘇芳を龍馬の折檻から守って育てました。晩年の龍馬にとっては、常に傍ら で支えようとしてくれている伽羅が逆に光明のような存在でした。 龍馬は死の間際、昼子との交神で何があったのかを伽羅に伝え、「たとえ自分の魂が 消滅することになってもお前達を守る。強くなるためなら手段を選ぶな」と言い残して 氏神になって天へ昇りましたが、氏神になった後にすべてが誤解であったことを知り、 何の非もなかった息子を虐げてしまったことに愕然とします。 兄の後を引き継いで当主となった伽羅は、「強くなるためなら手段を選ぶな、という 兄の言葉に従う」として周囲の反対を押し切って兄妹交神に臨みましたが、交神相手を 兄とした理由は勿論、兄の言葉だけが理由ではありませんでした。 伽羅は氏神になることはありませんでしたが、死の間際に「涼しい風が吹いた」と言 いました。風の氏神であった兄が迎えに来たのだろうと思っています。 この絵ができあがった頃、既に強化期間お題【カップル】が告知されていたのですが、 この二人はカップルではないよな…と思って通常投稿しました。カップル、と呼べるよ うな男女の愛情ではなくもっと魂の深い部分で結びついている印象があるためなのだろ うなと思います。飛炎と環の場合は、日下部家の身体的な制約に関する設定で物凄く悔 しく思いましたが(まだ未練がましく)、この二人の場合は身体的な結びつきはなしで もいいかな…とも思っています。 それはそれとして、伽羅の装束姿を描いたのは同人誌『相ひ思ふ華』以来だったわけ ですが、親の私が思っていた以上に立派なお胸に仕上がりました…伽羅が豊かな胸とい う設定になったのは、彼女の持つ強い母性を象徴したかったからなんですが、伽羅がそ ういう優しい心の持ち主になれたのは、龍馬の存在があったからこそなのです。 マルチライナーの茶色で主線、コピック+色鉛筆+シグノの白で着彩。 |