『暁月夜』に登場する月刃丸&暁良への質問回答。二人は二ヶ月違いの親友同士で、月刃丸は闊達、暁良は
純情で生真面目(でやや天然)という二人。二人とも三十三代目当主である麗佳のことが好きでしたが、月刃
丸の方が暁良も麗佳が好きだということを知って、誰にも自分の気持ちを知られることなくそっと身を引きま
した。暁良はその月刃丸に背中を押される形で、氏神となった麗佳と交神しました。
時期は暁良が交神を終えた後ぐらいの頃です。男二人の場合はどうなるかやってみました(笑)。
月:御鏡 月刃丸(つくはまる)。
暁:三十四代目の御鏡香流、父上から頂いた名は暁良(あきら)です。
月:父さんが月光天ヨミ様だったのと、俺が来た時丁度刃みたいに細い月がかかってる夜だったから。
暁:母上が太照天夕子様なのですが…太陽にかかわる御名をお持ちの神様であられるので、暁の名を頂きま
した。
3. 現在の年齢と、わかれば誕生日・血液型を教えてください。
|
月:1043年4月生まれの1歳5ヶ月、血液型…?
暁:1043年6月生まれ、1歳3ヶ月です。血液型は存じません。月刃丸とは二ヶ月違いです。
月:血液型なんて調べたっけ?
暁:いや…調べられた覚えはないな…。そもそも血液型って何のことだろう?
月:知らね。血って血だろ?俺のとお前のとどっか違うとこでもあるのか?
※月刃丸:O、暁良:A
月:パッと見黒髪黒い目に見えるんだ。日に当たると深い緑だってことが分かる。肌は白くも黒くもないん
じゃねえかな(※風肌)。
暁:俺は髪が銀、瞳が薄い緑…若苗色(■)に近いでしょうか。肌は…割と色白な部類です。先代様や光透
美さんほどではないですが(※土肌)。月刃丸の色合いは、都の人の中にいてもあまり違和感がなくて
いいな。
月:お前の頭は、銀っていうか青っぽいのが混じってるよな。俺は逆にありふれすぎてるから、餓鬼の頃は
お前の頭がきらきらしてかっこいいな、って羨ましかった(笑)。
暁:そういうものかな(笑)。色合いもそうだけど、月刃丸は髪の毛に癖がなくて羨ましいよ。俺の髪は結
構な癖っ毛だからな。
5. 身長、体重、靴のサイズ(笑)なんかも教えてください。
|
月:五尺六寸ちょっと…七寸には届かないぐらいかな(169cm)。目方は幾つだったかな、十六貫ぐらい
(約62kg)。足?足はどうだったかな…九寸(27cm)ぐらいじゃなかったかな。
暁:五尺九寸ぐらい…だったかな(177cm)。目方は十八貫程度(約68kg)だったと思います。足の大きさ
は多分月刃丸より少し大きい程度(27.5cm)ではないかと。
月:いつの間にかお前に背丈抜かれたなー。
6. スリーサイズを教えてください(笑)上から順に。
|
月:知らね。あんまり聞いても面白くないような寸法(※体の幅はないが筋肉の嵩はそれなりにある。あま
り肩幅が発達しているわけではないので、上から下までさほど幅の変動がない感じ)。
暁:月刃丸、すりーさいずって何のことだ?
月:胸と腰と尻の周り。
暁:……そんなもの、測ってどうするんだ?身の丈や目方なら分かるが…。ああ、着物を仕立てるときに使
うのか。確かに明確にしておいた方が楽かもしれないな(←真顔)。俺は生憎、体の寸法までは把握し
てないが…(※スレンダーな逆三角型の体格。腹筋はしっかり割れてる)
月:着物ならそれ以外に裄丈と袖丈が要るだろ。…普通女に対して聞くもんだからな、こういうのは。
暁:そっ…!そうなのか?(赤面)しかし、女人に対してそういうことを尋ねるのは失礼にあたらないか?
月:光透美姉は普通に生絹一枚でウロウロしてたけどな、夏場。
暁:(赤面)…あれは流石にいかがなものかと思うぞ、俺は。
月:俺。二人称は…さん付けだったりそうじゃなかったり。暁良に対してはお前。さん付けるかつけないか
は気分次第(笑)。イツ花と下の連中は全部名前かな。
暁:一人称は俺、昔は僕と言っていたんですが…初陣が終わった頃に月刃丸から「その僕っていうのやめろ」
と言われたので(笑)。二人称はあなたもしくはさん付け、月刃丸に対してはお前、と。年下の者やイ
ツ花に対しては、俺も名前で呼んでいます。
月:だって何か僕って言うの弱そうだろ(笑)。男なら俺って言えよって思ってさ。
暁:そうかな…(苦笑)。
8. あなたの父君、母君のお名前を教えてください。
|
月:父さんはさっきも言ったけど月光天ヨミ様で、母さんは御鏡鈴華。
暁:母上は太照天夕子様、父上は先々代当主の御鏡正澄と申しました。
月:俺ら色合いはほとんど親譲りだよな。
暁:そうだな。でも、俺は多分父上よりも脱色してるんじゃないかな…(笑)。
月:俺は逆に母さんよりも色が濃くなったんだよな、母さんははっきり目と髪が深緑、って分かる感じだっ
たから。
月:槍。
暁:舞手…あ、踊り屋のことです。
月:厳密には選考会に出てくる類の踊り屋とは違うんだろ。
暁:うん。…舞手は純粋に鬼を狩るための存在です。舞手の足裁き、手の動きが鬼を狩るための刃となる…
(防御不可の真空刃による斬撃。扇は真空刃の威力を増大させるためのもので、選考会の踊り屋たちは
扇から発生させる衝撃波による打撃攻撃)ええと、術者が術を用いる時に印を結ぶのと同じです。印が
我々舞手の場合、足裁きや腕の動きに相当し、鬼狩りの刃を生み出すので…。ただし術とは根本的に理
が違うので、術封じの結界のような類は我々には効きません。
月:俺らがウリャーとか叫びながら突っ込んでくのと違って、舞手の動きってのは優雅なもんなんだよ、ほ
んとに(笑)。
暁:ただ、表向きは選考会の踊り屋たちと同じ、舞手の存在は極秘ということになっているので他言は無用
でお願いします。この力のために、一度御鏡の血が絶えかけたことがあったので…。
月:それは俺も教わった。力としては強すぎるから、朝廷の連中があらぬ嫌疑をかけたってやつだろ。あい
つらほんとに昔っから学習してねえな。
暁:舞手の力は、古来から人外のものと戦うために特化してきたものなんだ。だから人が相手なら扇を使う
までもない、素手の動きだけであっさりと殺められる…くわえて、今言ったけれど舞手の刃を受け止め
る手段はないんだ。術封じの結界も効果がない。何らかの方法で舞の動きそのものを完全に封じるか…
避けるか。避ける、と言っても、舞手が生み出す刃は目に見えるものではないから勘に頼るしかない。
実際、古くは鬼狩りに加えて暗殺の類もしていた、と聞いてる。…そんな存在がいたら、後ろめたいと
ころのある連中は消そうとするだろうな。
月:まったく、偉い連中ってのはどうしてそうなのかね。後ろめたいことやりすぎだろ。
月:剛槍山嵐。名槍雫石より使い勝手がいいんだ。
暁:秘扇ベニ燕です。
月:勾玉の鎧?…だった気がする。忘れた。愛用っていうかたまたま拾った(笑)。俺にはちょっとでかい
から無理矢理締めてる。
暁:舞手の装備は元々少ないので…白拍子の衣ぐらいでしょうか。
月:雪のたすき…(苦笑)。あんまり体力に自信がないんだ…。
暁:今は当主なので…当主の指輪です。
月:何だっけそれ?名前は聞いたことあるけど、うちにあったか?
暁:神々を鬼の身に堕とした朱点童子の呪具と聞いているが…確か手に入ったらイツ花に天界に持って行っ
てもらって、浄化してもらう手はずになっていたはずだから、うちには多分もう一つも残ってないんじ
ゃないかな。
14. 奥義を覚えたら使っちゃいたくなる方ですか?
|
月:命が縮むって分かってるもん、むやみに使う気にはならねえなあ。非常時なら別だけど。
暁:使わないといけないほど切迫している状況以外には使いません…元々舞手の奥義は、味方の援護に適す
るものですから、乱用するべきものではありません。
月:お前はそんなもん使ってる暇があったら、さっさと術使うなり敵を薙ぎ払うなりしてくれよ(笑)。
月:とにかく先手を取ることが大事だよな。特に地獄では。
暁:うん。陽炎の重ねがけから背後を取って先手、の一言に尽きると思います。数が多いようならば寝太郎
も用います。
16. 携帯袋の中に常に入ってるものってありますか?
|
月:そういうのは全部当主任せだからな(笑)。回答宜しく。
暁:と言ってもいつも大して代わり映えしない中身だけど…養老水、万金露、神仙水、時登りの笛。…そん
なところでしょうか。数は適宜で。
17. あとちょっとで迷宮最深部、というところで一月が経過。あなたなら続行しますか?それとも帰還?
|
月:地獄の底なら迷わず続行だな(笑)。
暁:そうかな、それならそれまでの道筋を覚えておいて、次の月に行った方がよくないか?
月:だって次の月にスイスイとそこまで無難にたどり着ける保障ないだろ。入るたびに形が変わるんだから。
暁:万全で行くことも大事だと思うんだが…。
月:まあ、実際そうなってみないと分かんね(笑)。深部とやらが朱点童子の根城だったら、多分全員一致
で続行じゃねえ?
暁:うーん。それだったらそうなるかもしれないが、想定だけだとどうも難しいな(苦笑)。
18. 夏の御前試合と白骨城討伐、どちらを優先したいですか?
|
月:御前試合ねえ。出れば優勝するだろうけど、あんまり常勝でもそれはそれで、「筆頭討伐隊がいつまで
グズグズしてるのか」ってイヤミ言われるから理由つけて出ないこともあるよな。麗佳さんの母上(※
美晴)の代が結構いやな目に合わされたらしいし。
暁:父上に伺ったことがある。…なんでも、御鏡の名声を疎んじて、御前試合のどさくさに亡き者にしよう
と画策したものがあったらしい。
月:えー。亡き者って。大丈夫だったのかよ?
暁:俺も詳細は伺ってないんだが…実のところ、先代様のお母上(※麗佳の母、つまり美晴)が大将を務め
ておられた時の話だったらしい。もちろん先代様が来訪される前の話だが、しばらく生死の境を彷徨っ
たとか…。
月:ひっでえな。俺ら何もしてねえだろっての。その犯人どうなったんだよ?まだのうのうと出仕してやが
んのか?
暁:いや。三十代目当主様(※湧弥)…俺の祖父にあたる方が、それはもう存分に返礼をしてやった…そう
だ。これも詳細は伺ってないしどことなく聞かない方がいいような雰囲気だったが、まあ無事では済ま
なかったような話なんだろうな。
月:うわー、やるなお前の祖父さん。
月:まあ…本音を言えば、生きてるうちでも死んだ後も地獄に行くのは遠慮したいよな(笑)。
暁:俺も同感だ…(苦笑)。あそこは地獄というだけあって、瘴気も半端じゃないし鬼の強さも多さも地上
とは比較にならないから…まず適応できるようになるのが大変なんです。
月:息が詰まりそうになるんだよな、なんとなく空気が重くて体の切れも悪くなるし。特に血の池は臭いが
きついしひでえとこだよ。とはいえ、そこが本拠地だから行かないわけにもいかないからなー。地獄の
中ってやつはまた、でかくて広くてさ。入るたびに形が変わるし、ほんと厄介なところだよな。
月:地獄に比べればどこもましだと思う。
暁:…まったくだな(苦笑)。
月:そんなのいたっけ?これも地獄の鬼に比べればどれもましだよなー。
暁:俺もそう思う。似たような鬼が地上にある鬼の巣窟にいたとしても、地獄の方が格段に強いよ。
22. 死にかけたことはありますか?差し支えなければ原因も。
|
月:地獄に入り浸ってる割にはないな、幸いなことに(笑)。
暁:うん……。
月:?ないだろ?
暁:俺はないが――(沈痛な顔)。
月:(↑何か察したらしい)…今はお前が死に掛けたこと聞いてるんだから、ないならないでいいんだろ。
次次。
月:ない。お前もないはずだよな。
暁:…ないよ(苦笑)。
月:んじゃ次行こうぜ。
月:これって自分がよく使うってやつでいいのか?俺は戦で攻撃する類の術はほとんど使わないな。陽炎、
回復術、梵ピンぐらいか。まどろっこしいことするより槍でいった方が早い。
暁:俺は陽炎、速鳥、清水、回復術、梵ピン…あとは適宜攻撃系の術、でしょうか。
月:何でだかお前の速鳥は効きが違うんだよな(笑/最終技力808の暁良はフィールド上では速鳥&清水係
でした)
25. リーダー、参謀、その他大勢。自分はどの位置だと思いますか?
|
月:俺?リーダーとか参謀とかいうほど頭使うの好きじゃないから、その他でいいよ(笑)。
暁:月刃丸は明らかに参謀だと思うぞ、俺は(笑)。俺は一応当主という立場なので…便宜上はリーダーと
言うことになるのかな。あまりリーダー向けの性格でないと自分でも思うんですが…(苦笑)。
月:俺参謀か?ほんとかよ(笑)。お前がリーダーじゃなかったら、うちには誰もリーダーなんていねえぞ
(笑)。
月:あんまり頭使うの好きじゃないんで、肉体派でいいや。
暁:俺は…どっちなんだろう。うーん(←本気で悩んでる)
月:術使う時にあれだけ底なしのくせに、どこが肉体派なんだよ(笑)。
月:いちいち強いとか自覚してねえけど、まあ強いんじゃねえ?責任感のないのって男としてかっこ悪いだ
ろ。
暁:当主の判断ひとつで一族全体に影響することも少なくないので。強いんじゃないかと思います。
月:強いのはいいことだけど、もうちょっと肩の力抜けよ(笑)。
暁:耳が痛いな…気をつける(苦笑)。
月:楽観的(笑)。
暁:ううん…悲観的、な方だと思うんですが(←悩んでる)
月:お前はもうちょっと眉間に皺寄せる回数減らした方がいい(笑)。この程度の質問で悩むなよ。
暁:自分自身に関する質問というのはどうも苦手なんだ…(苦笑)。
月:いや。それはうちじゃ光透美姉の管轄なんで…(笑)。自動的にそうじゃない方になった。むしろ殴ら
れてた。
暁:あの人の拳は滅茶苦茶痛かったな…(苦笑)。目から火花が出るかと思った。
月:ありゃ絶対拳のとこだけ石とかでできてんだよ。
30. 他人に迷惑をかけるほう?それともかけられる方ですか?
|
月:誰かに迷惑かけるの嫌だし、かけられる方じゃねえのかな。
暁:俺も人に迷惑はかけたくない。初陣の時は…みんなに迷惑かけっぱなしだったけどな。
月:初陣の時に最初っから冷静でいられるやつなんかいねえよ。俺なんか光透美姉にボコボコ殴られてたぞ。
月:大雑把でいい加減?(笑)
暁:そんなことはないだろう。周囲へきちんと気配りをしているし、そういう風に言っている割には繊細な
ところがあると思う。俺は…生真面目で冗談が通じない、とよく言われます。
月:その割に天然なんだよな、お前(笑)。
暁:…自分でも、ちょっとずれたところがあるのは自覚してる…(苦笑)。
月:自分では明るい性格だと思ってるから、そのへんかなー。
暁:そうだな。さっきも言ったけど、周囲の雰囲気を読むのがうまい、ところもあるんじゃないかな。お前
の明るさに救われるところも多かったよ。俺は…几帳面なところ、だと思います。そのくらいしか思い
つかないので…ううん、自分についての質問は本当に難しいな…(苦笑)。
月:おいおい、褒めても何も出てこねえぞ(笑)。まあお前の場合、几帳面なのもあるけど何事にも一生懸
命で謙虚なとこは美点だと思うけどな。俺およそそういうのねえから(笑)。
月:別に後でもいいかな、って思ったことはほんっとうにうっちゃらかしてる(笑)。
暁:大抵家の中で何かが置きっぱなしになっている時は、イツ花か月刃丸の仕業だからな…(笑)。
月:知らない間に暁良がどっかにやっといてくれてる気がする。
暁:俺がそうするからお前が一向に直そうとしないのは分かってるんだが…気になるんだ(苦笑)。頼むか
ら出したものは元に戻しておいてくれ。
月:あーごめんごめん。お前の短所はクソ真面目すぎるところかな(笑)。一生懸命なのはいいことだけど、
『当主権限の濫用』発言は俺結構笑った(笑)。
暁:そっ!それは今この場で言うことじゃないだろう!(赤面)
月:うーんそうだな、外に出て体を動かすようなことが好きなんだ。あと釣りとか。
暁:絵を描くことが好きです…あとは龍笛をそぞろ吹くこと、それに舞ですね。鬼狩りの舞いではなく、い
わゆる雅楽にあわせて舞う類のもの…戦とは全く無関係のものですから、無心で舞えます。
月:舞手の血筋のせいなのかなんなのか、お前はそっち方面も凄いんだよなー。
暁:そ、そうかな?絵は比較対象がないから程度がよくわからないが、笛や舞は父上には到底かなわないよ。
月:絵の腕前は人に自慢していいぐらいだと思うけどな、俺は。お前のお父上の笛、そういや餓鬼のころ何
度か聞いたことあったな…子供心にすげえ上手だって思った覚えがある。やっぱり血筋なんじゃねえ?
月:めんどくさそうなこと。
暁:そんな大雑把な言い方だと、ご覧になっている皆様に伝わらないだろう(苦笑)。俺は、昔は荒事が好
きではありませんでした。絵を描いたり、笛を吹いていたりする方がおよそ自分には合っているのに、
と思っていたものでしたが…気がつけば当主として率いる立場になっている。今は勿論、疎んじるよう
なことはないですよ。自分の戦い一つ一つが、後に続くわけですから。
月:おっさすが当主。かっこいいこと言うじゃねえか。俺のはさ、具体的にって言われてもなあ。何か、あ
ーこれめんどくせえな、っていうようなことってあるだろ?ああいうのはなるべくやりたくねえんだよ
な。
暁:…漠然としすぎて全然分からない(苦笑)。
月:じゃあ例えば…うんそうだな、儀礼めいたこと。交神って禊からあれこれといちいち細かい手順踏むじ
ゃねえか。ああいう細々とした類のこと。まあ、子供くれるってのにこう言っちゃバチが当たるけど、
真っ先にめんどくさいので思いつくのってあれだなあー。
暁:月刃丸は感覚で動くところがあるからな…(笑)。
月:感覚っていうか嗅覚か?(笑)
暁:獣みたいな言い方だな(笑)。
月:特にないな。交神も終わったし、おかげさまで子育てにも苦労してない(笑)。
暁:俺も特に…ありません。
月:討伐も何もしなかった月、ってのはとりあえずないよな。誰かが交神に行ってる、って時は、好きなこ
としてる。釣りとか。
暁:俺は記録をまとめたり、手が空いたときは年下の者の勉学の面倒を見たりとか…勿論、絵を描いたり笛
を吹くこともありますけれど。
月:都に、腕のいい釣り針作る職人がいるんだ。そいつんとこ。
暁:俺は、特にないです。
月:好きだよ。でかい山車とか出るし、ああいうの眺めるって楽しい。
暁:俺も好きです。都中に楽が溢れて賑やかになりますから。
月:とりあえず俺は考えたやつの顔が見てみたい。何考えてあんな名前にしたんだろうな、新手の嫌がらせ
か?(笑)
暁:俺も同感です…(笑)。
41. 美人画屋さんに行ったことはありますか?また、好みの美人画は?
|
月:結構揃ってたような気がするな。誰がそろえたんだろ。別嬪は別嬪なんじゃねえの、美人画ってぐらい
だから。でも女所帯で育ったから美人画の世界に夢見る気にはならねえな。…現実は厳しいんだぜ(笑)。
暁:月刃丸は結構皆からいじられてたらしいからな…(苦笑)。俺も取り立てて自分から見ることはないで
す。
月:絵が上手いお前の目から見て、正直なところ美人画の出来ってどうなわけ?俺はまあそれなりにいいん
じゃねえって思うけど。
暁:うーん………ええと、絵の見本になった女人はきっと美しいんだろうな、と思う…(←困ってる)。
月:よくわかった(笑)。
月:めんどくさそうなことは嫌いだって言ったろ(笑)。そもそも手つけたくない。
暁:張れるだろうとは思いますが…あまりやろうという気にはならないです。
月:今一緒に質問に答えてるだろ。
暁:そうだな(笑)。
月:なんかこれ上の質問とかぶってねえ?以下略(笑)。
暁:俺が来訪した時から月刃丸とは一緒に釣りに行ったり、遊んだりしていましたよ。
月:お前の御父上以外みんな女だったから、尚更団結するしかなかったよな(笑)。
月:いや。別に。
暁:質問の意図とは少々違いますが、父や祖父のような優れた舞手になれればと思います。
46. 家族仲は良い方ですか? また、どう思ってますか?
|
月:いいと思うよ。女の中に男が一人だからって、いじるのは勘弁だけどな(笑)。
暁:最近は武虎も景雅も来たから、女所帯というわけでもなくなったな。…当初武虎と景雅は不仲で、さて
どうしたものだろうか…と思っていたんですが、今はすっかり仲良くなったので。家の中はとりあえず
円満なのではと思います。武虎は先代様の子、景雅は香霧さんの子なのですが、どうも当初から折り合
いが悪かったので。
月:あれは不仲っていうか、香霧さんをめぐって意地の張り合いしてたんだろ(笑)。餓鬼二人が何やって
んだって感じで見てた(笑)。
月:大変そうだけどよくやってるよなって思うな。お疲れ。結構個性強いやつが多いから、まとめるのだけ
でも骨が折れそうだなと思う(笑)。
暁:日々しなければならないことがたくさんあるので、大変ですが充実はしています。
月:質問の対象が当主の場合、これってどう答えたらいいんだろうな。…先代様のことについてでも言って
おいたらどうだ?(笑)
暁:な、何だその意味深な笑い方は(赤面)。え、ええと(咳払い)。先代様…三十三代目当主の麗佳さん
のことですが、自分を厳しく律するけれども一族に対する思いやりを欠かさない、尊敬できる当主様で
あったと思います。
月:…それだけか?(笑)
暁:だからどういう意味だ!(赤面)
月:尊敬してたのはお前の御父上と先代の麗佳さん、あとお前かな。当主三代(笑)。理由?やっぱ一族を
率いるのって大変だと思うしな。今言った当主はみんな実力もあって責務もこなしてて、一族みんなへ
の配慮も怠らないし。麗佳さんは、俺達のために無理しすぎてる感があって心配になるぐらいだった。
暁:お前がそう言ってくれるのはとても嬉しいが、俺がそのお二人と並ぶのは何だか恐れ多いな…(苦笑)。
俺も月刃丸と同じです。父上と先代の麗佳さん…理由もほぼいいたい事を月刃丸に言われてしまいまし
たが、武人としての力量も人となりもすばらしいものであったと思うので。直接お目にかかったことは
ありませんが、祖父にあたる三十代目当主様(※湧弥)も大層優れた方であったそうで…そんな方が祖
父であったことを誇りに思いますし、少しでも今申し上げた方々のような当主に近づければ、と思いま
す。
月:お前の美点はそういう謙虚なとこだけど、もうちょっと自分自身を認めてもいいと思うんだよな(笑)。
月:趣味は釣り。特技というほど凄い腕前じゃない(笑)。ちっちゃいのを釣ってきて晩飯の足しにしても
らう程度のもんだよ。うちは人数多いから、人数分足りなかったりするとちょっと焦る(笑)。
暁:あれはあれで結構みんな楽しみにしてるんだぞ(笑)。俺は好きなものの項目で挙げましたが、絵を描
くこと、龍笛を吹くことですね。
月:お前の笛もみんな楽しみにしてるんだぜ。気が向いた時だけじゃなく毎日やればいいのに。
暁:そういうわけにもいかないよ…音が出るものは、あまり頻繁にやるとご近所に迷惑になるだろう(←真
顔)
月:なるかよ(笑)。迷惑ってのは聞いててうるせえなって思う程度のもんだからだぞ。お前はほんと、も
うちょっと自分を認めてもいいと思うんだけどな(笑)。
暁:そうかな…(苦笑)。
月:地獄の門は開いたんだけど、そこからが長いよな…(苦笑)。ちょっと俺らの代では無理でした、すい
ません。
暁:あともう一息だと思うので、もう少々お待ち下さい…どうか討伐隊の皆をお守り下さいますよう。
月:そういや初代様って元々は舞手なんだよな?
暁:そうらしいな。それを恐れた朱点童子が呪いをかけて力を封じた…そう聞いてる。
月:呪いを受ける前からあった力、って話なんだろ?
暁:呪いを受ける前は一族宗家に受け継がれていた力だったそうだ。呪いを受けた後は、呪いのためなのか
何なのか、血筋とは全く関係ない発露の仕方をしている。俺のところが、三代続いてっていうのはたま
たまだそうだよ。それ以前は舞手そのものが何代もいなかったり、舞手の力を持たない親から舞手が生
まれたり…そんな感じだったそうだ。
月:俺はお前の祖父さんとかいう人が封じられてた舞手の力を完全に引き出したから、お前のとこが三代続
いたって聞いてるけどな。力が安定した、って。
暁:それでも、必ずしも俺の子が舞手の力を持って生まれてくるとは限らないからな…(笑)。こういう言
い方をしてはご先祖様方に申し訳ないが、俺としてはあまり子にこの力を受け継いで欲しくないんだ。
月:特別な力、ってのはそれだけ重たいもんだからな。抱え込むなよ?
暁:分かってる、有難う(笑)。俺に舞手の力があると分かった時、父上の顔がふっと曇ったのも今なら分
かるよ。…それに、舞手の力は人に対して使うと自身を死に至らしめる。三つ目の呪い、と言っても過
言じゃない。ないなら、ない方がいいのかもしれないなと思うよ。鬼との戦には不可欠なものでもある
けど…矛盾したこと言ってるのは承知の上だ(苦笑)。
月:え。初耳だぞ、そんなの。
暁:御鏡の血が絶えかけた時、表向きは絶えたということにして、宗家の生き残りが自らその血に制約を加
えた、と教わった。元々は御鏡ではなく御神楽、という名だったそうだ。恐るべき力でも、人相手に使
えなければ脅威ではない、と…。名を変えただけでは心もとなかったのだろうな、血を守るためにやむ
なく取った手段だったそうだ。
月:ふーん…おい、変な気起こすなよ?朝廷関連のやり取りはお前に任せっきりだけど、問いの十八みたい
な話もあったしな。なんかあったらまず俺に言えよ。
暁:起こさないよ、有難う(笑)。
月:いや、別に。結構楽しい(笑)。
暁:イツ花に茶と茶菓を頼んだので、あとで持ってきてもらいます。
月:問いの五十の話聞いた後だと言いづらいなあ…舞手になること(笑)。
暁:えっ?そうだったのか?
月:餓鬼の単純な発想だよ。特別な凄いもので、誰にでもなれるものじゃない、って聞いたら…なんかかっ
こいいな、って思ってさ(苦笑)。
暁:そういえば、俺が御鏡に降りてきた時もそんなことを言ってたっけな(笑)。初陣の時、それを悪かっ
た、って謝ってきてくれたことも覚えてる。気安く言うようなことじゃなかった、と。
月:そんなことまでいちいち覚えてんなよ、忘れてくれ(笑)。
暁:俺は、楽人になりたかったんです。昔から笛を吹くことは好きだったから。これが仕事になったら楽し
いだろうな、と思っていました。
月:草履が外側から減る。多分外股気味なんだと思う。あと、ちょっと思うところがあるときは頭に手をや
ってる…そんなとこかな。
暁:俺は…特に思いつかないな。ないんじゃないかと思います。
月:そんなことねえだろ。自分で気がついてないだけだぞ。
暁:な、何か心当たりがあるのか?
月:書き物してる時、何かに目を通してる時…そういう時に首がちょっと左に傾いてる。首傾げてるみたい
な感じになってるぞ。
暁:え。…そ、そういえば…皆で幻灯に行った時、首をもうちょっと右に戻してください、というようなこ
とを言われたような…(汗)。
月:上手いかどうかは置いといて、顔には出ない方だと思う。
暁:俺は駄目だな…嘘をつく、という行為自体が好きではないから…必要に迫られてついたとしても、その
後自己嫌悪に陥ると思います(苦笑)。
月:必要のない嘘ついちゃ駄目だと思うけど、必要ならいいじゃねえかよ、別に(笑)。
月:表情はよく動く方じゃねえかな。さっきも言ったけど、外に出さない方がいいかなっていうような類の
ことについては出ない方(笑)。
暁:俺は…どちらかというとそんなに大きく笑ったり怒ったり、ということはない方だと思います。
月:色恋沙汰になるとそりゃあもう分かりやすいけどな(←さらっと)
暁:だからそういうことはここで言うなと…!(赤面)
月:食べるよ。光透美姉ほどじゃないけどな(笑)。甘いのも酒もなんでもこい。
暁:俺はよく食べる、というほど食べるわけではないと思います…細いわけでもないですが。腹八分目ぐら
いで。味に文句をつけるようなことはしません。
月:お前の八分目はもう少し増やしてもいいと思うけどな。あんなもんで腹減らないのか?
暁:俺にはあれくらいで丁度いいんだ。月刃丸の八分目は少し多すぎないか?(笑)
月:何言ってんだよ、俺なんか光透美姉に比べたら五分ぐらいだって(笑)。
月:魚かな。焼いたのでも煮たのでも何でも。自分が釣ってきたやつならなおいいかな(笑)。…魚食った
割には背丈がもうちょっとだったなー…。あと、甘いのも酒も好きだぞ。
暁:瓜(※真桑瓜のこと。甘みがちょっと控えめなメロンという感じ)が好きです…汁気があって甘みもあ
るので。来訪して間もない頃食べてから、すっかり気に入ってしまったようで(笑)。井戸で冷やした
ものが特に好きです。季節ものですから、我々の場合そう食べられるわけではないですけれど…逆に餡
子は少々苦手です(苦笑)。
月:誰かが餡子もの買ってきても食べないもんな、お前。取り分が増えるからいいけど(笑)。
月:酒でも茶でも。ただ、酒は一人で飲むことはしねえかな。
暁:俺は取り立てて酒が好き、というわけではないです…月刃丸に付き合う程度で、自分から飲むことはあ
まり。
月:嫌いってわけじゃねえんだろ?
暁:まあ、そうだな…嗜む程度に。酔うという行為が好きではないので、無礼講の類の宴はなるべくなら出
たくはないです。皆で和気藹々と飲むようなことなら好きですけれど。
月:顔にも出ないし言葉もしっかりしたまま…って安心してると足腰に来るのが俺(笑)。昔の話だぜ?今
はもうそんなことねえよ。下戸じゃねえけど笊でもないぐらい。普通よりはそれなりに強い部類。
暁:俺も顔には全然出ないです…出ないからといって笊というわけではないので、調子に乗って飲まされる
のは勘弁願いたいです(苦笑)。だから無礼講の類は苦手なんだ、酔った人というのは相手の都合を考
えずに飲ませようとするから…。
月:お前酔うとどうなるんだっけ?
暁:泥酔したことは勿論ないが、あのクラッとくる感覚がどうも好きになれないんだ。多分酔うと静かにな
るんだと思う…(苦笑)。味そのものはけして嫌いではないけれど、酒は五感が鈍るほど飲むものでは
ないよ。
月:俺の娘(笑顔)
暁:お前がそこまで子煩悩になったのは意外だったな…(笑)。
月:お前も来月になったら分かるって。あ、こいつ交神から帰ってきたばっかりなんだよな。俺の娘はもう
すぐ一ヶ月になるところなんだけど、色合いから顔立ちから俺によく似てんの。いいよなーこういうの。
自分に似てるところを見つけると、俺の子供なんだな、ってしみじみ思うよ(笑)。
暁:月刃丸の娘は茅乃、と言うんです。一月ぶりに見たら随分女の子っぽくなったな。色合いはお前にそっ
くりだと思ったけど、確かに顔立ちも似てるな、眉の形とか。可愛い子だと思う。
月:だろ?(笑顔)
暁:じゃあ俺も来月にこの質問をされたらお前と同じ答えになるのかな(笑)。今の時点では、父上から賜
った舞扇と笛が宝物、と呼べるものでしょうか。
月:お前の部屋にある書き物の道具一式、見覚えあるんだけどな俺。箱が綺麗な螺鈿のやつ。
暁:……あれは、その。譲り受けたんだ。先代様から。書き物をするのに必要だろう、と。
月:あれは宝物の中に入らないのか?
暁:何が言いたいんだ、お前は(赤面)。いただきものなのだから、宝物云々言えるようなものじゃないだ
ろう。
月:今更照れるのがお前だよな(笑)。
暁:だから、そういう話をここでするな(赤面)。
月:うーん。うちは生き物が飼えないからピンとこないな。魚とか?
暁:それは、好きというか獲物だからじゃないのか?(笑)
月:うーんそうだな…そうかも(笑)。
暁:俺は元々生き物全般が好きなので…子供の頃から、庭に咲いている花や生き物などを描いていました。
蜥蜴や蝶、鳥も飛んでくるので、対象には事欠かなかったですよ。
月:お前蜥蜴とか平気でつまんでたもんな(笑)。
暁:生き物の中で特に、と言われたら蝶でしょうか…黒揚羽。陰陽師でもあった父上が、式神としてよく使
われていたので…馴染みがあるんだと思います。
月:地獄の鬼に比べりゃどれもましじゃねえの…俺あいつ嫌いなんだ、赤ん坊が崩れたようなやつ(※ひよ
ひよ)…なまじ人っぽいからなんか受け付けない。
暁:見た目が不気味だよな…あれは(苦笑)。俺も月刃丸と全く同意見です。
月:なんで女ってみんな御器かぶりが嫌いなんだろうな。地獄の鬼は悲鳴なんか上げもせず斬り飛ばしてん
のに。イツ花ですら駄目なものがこの世にあるとは思わなかった(笑)。まあ、確かにどことなくやだ
なーっていう感じだけど、キャーキャー大騒ぎするほどのもんか、っていうとそうは思わねえんだけど
な。
暁:…光透美さんは見つけ次第あっさりと叩き潰していなかったか。
月:思い出した。…素手でな。
月:割と抑え目な深い色。二藍(ふたあい)、深縹(こきはなだ)、蘇芳とか…そんな感じかなあ。夏場は
白っぽいのも着るけど。
暁:俺は白とか、白に近い色が好きです。
月:お前よく白っぽいの着てるもんな。
暁:父上がそうだったので…自然俺も似たような嗜好になったんだと思う(笑)。実際、髪にしろ瞳にしろ
色が薄いので…濃い色目の狩衣はほとんど着ることはありません。
月:色合いが派手なやつ。猩々緋とか、目にうわって来るようなどぎつい赤はちょっとなあ。
暁:俺もそういう色合いはちょっと苦手です…あとは先ほども申し上げましたが濃い色合い、特に黒ですね。
髪も瞳も色が薄いから、黒を着ると服ばかりが目立ってしまうので…だから礼装は本当に苦手です。…
当主という立場である以上着ないわけにもいかないんですが、着るたびに似合わないなあ、と…(苦笑)。
月:…お疲れさん(笑)。
月:うーん。そう言われてもなー。攻撃は最大の防御、とか?(笑)あんまり意識してないから急に言われ
ても出てこねえ。多分俺のことだからそんなとこだと思う。
暁:そんな他人事みたいに言うなよ…(笑)。俺は…そうですね、確固不抜…でしょうか。
月:お前は難しい言葉がよくもまあそうもポンポン出てくるよなー。どういう意味だよ。
暁:意思がしっかりとしていて、物事に動揺しないこと…討伐先では、動揺して冷静な判断ができなければ
命にかかわるから。
66. 今までに一番印象に残っている出来事を教えてください。
|
月:餓鬼の頃、初めて女の着物を着せられた時かな…(笑)。俺が来た時はまだ暁良もいなくて、俺以外の
男っていうと暁良の御父上だけでさ。可愛い、似合う、って寄ってたかって誰かのお古を着せられた…
女が群れるとこんなに恐ろしいのかと思った。手篭めにされてる気分だった(笑)。勿論、みんな嫌い
ってわけじゃねえんだけど…あれだけは本気で勘弁してくれって思った。…暁良、どうせだからなんか
面白いこと言えよ。
暁:えっ…いや、やはり俺は初陣の時の出来事が――
月:そんなことだろうと思った。印象に残ってることなんだから、どうせなら面白い方がいいじゃねえか。
何でもいいから出せよ。
暁:何でもいい、って…何でもいいことは印象深いことじゃないだろう(笑)。じゃお言葉に甘えるよ、有
難う。ええと、そうだな…印象に残っているって言うと…来訪間もないころ、父上に舞の手本を見せて
頂いたことでしょうか。何も知らない子供のころだったので…それこそ、体の重さが全くないような、
流れる水のような…そんな澱みのない動きのすべてが驚きでした。
月:お前の御父上は、内裏の方でも舞の美しさで評判だったらしいなあ。天人の舞とかなんとか言われて。
暁:うん…だから父上は俺にとっては一番の目標なんだ。
月:俺からすれば、お前はとっくに御父上に追いついてると思うんだけどなあ(笑)。
月:お前が来て間もない頃に…女の着物とか着せられなかった?って聞いたら「ううん」って言われたこと
かな(笑)。何で俺だけ?!って…(笑)。
暁:俺は何で月刃丸がそんなこと聞いてくるのかがさっぱり分からなかった(笑)。…あとになって理由が
わかったよ…。
月:何で?!って女連中に聞いたらさ、「だって暁良は当主様の子供だもん」だぞ。子供心に理不尽だって
思った(笑)。
暁:ご、ごめん…(汗)。辛かったろうな…。
月:んな餓鬼のころの話でなんでお前が謝るんだよ、そういうとこほんと変わんねえな(笑)。母さんまで
「あら可愛いv」なんて喜ぶもんだからさ、ほんとにあの時は四面…四面なんつったっけ。
暁:…楚歌、か?四面楚歌。
月:そうそれそれ。そんな気分だった(笑)。
月:(あちゃー…まずい質問だな)…えーと。そうだなー、うんと餓鬼の時、光透美姉と喧嘩して…喧嘩、
つっても餓鬼のすることだからさ。原因忘れたけどどうせ俺がなんかいたずらしたのがばれた、とかそ
んなんだったはずなんだけど。うっかり捨て台詞で『うるせえこの狒々女』とかそんなこと言っちゃっ
て…危うく人生が終わるところだった(遠い目)。何が起きたかは聞かないでくれ…とりあえずそのす
ぐ後には「ごめんなさい僕が悪かったですころさないでください」みたいなこと言ってた気がする。暁
良、なんか面白おかしい話ないか?
暁:いや…一番の失敗、というなら初陣の時の話をあげないわけにはいかないよ(苦笑)。お前の気持ちは
嬉しいけど…事実は事実だから。失敗どころか失態だからな、隠したくない。
月:まあ、みんなもう誰も気にしてない、っていうかもう俺とお前しか知ってるやつはいないんだからな。
あんまり暗い仕様にするなよ。…当の麗佳さんもそう言ったんじゃねえのか、お前に。こないだ。
暁:う…うんまあ(赤面)。え、ええと(咳払い)。…俺が初陣の時…まだ、舞手の力の威力や力がどんな
位置づけのものなのか…ちっとも理解していなかったんです。先ほど申し上げましたが、元々荒事が好
きではなかったこともあり、皆が戦っている様を別世界のことのように見ているしかできませんでした。
鬼から不意打ちされて反射的に舞手の力を使ったとき、初めてそれがどれほど恐ろしいものだったかを
理解するという体たらくで。だから、その時は完全に呆然としてしまって…戦いの最中であることも忘
れて思考が真っ白になっていました。
月:いきなりあの威力は、ただでさえ血なまぐさい初陣になれてない身の上にはちょっときついよなあ。小
さい鬼なら一撃でばらばらなんだぜ。
暁:月刃丸が目の前で何か叫んでいるのは分かっていたんですが、それとは全く別に体が動かなくて…先代
様や光透美さんが鬼を掃討してくれていなかったら、それこそどうなっていたことやら(苦笑)。討伐
隊長を務めておられた先代様に頬を張られて…漸く我に返りました。
月:…その時はそれだけじゃなかった気がするんだけどな、俺(笑)。
暁:そこは今言及しなくていいところだろう(赤面)。何とか己を取り戻した後も、もう一度扇を振ったら
またあの恐ろしい力が発露するのかと思うと…体が竦んでしまって。そこへ鬼に襲われて…先代様が、
俺を庇って大怪我をしてしまったんです。その直前、「当主として命に代えてもあなた達のことを守る」
といわれたばかりだったので…それだけは、この人に絶対させてはいけないと思っていたのに。あれは
痛恨の極みでした。結局、討伐はそこで切り上げで…今思い返しても本当に恥ずかしいというか、一歩
間違えれば取り返しのつかないことになっていた、と思うと背筋が寒くなる思いです。幸い、先代様の
怪我はその場で光透美さんが治してくれたので…命にかかわるようなことにはなりませんでした。
月:でも結局、あの後はお前が自分で鬼をやっつけたじゃねえか。じゃ俺も恥ずかしい初陣の話を晒してし
まおうかな、っと。そりゃもうみっともなかったぜ、最初は体に叩き込んだはずのこともぜーんぶ忘れ
ちゃって、どうしたらいいのか何も分からなくってさ。青ざめてオロオロしてたら石みたいな拳でぶん
殴られた。…誰にかは今更聞くな(笑)。甘ったれんな、腹くくれ、って…それこそボコボコ殴られて
た。今だから言うけど、腹くくった月の後半までは本気で泣きが入ってた(笑)。
暁:俺は、その先代様の怪我の後に烈火のごとく怒った光透美さんに1発殴られただけだった…まあ、それは
自業自得なんだが、お前そんなに殴られてたのか?(汗)
月:そうそう、おかげさまで頭への攻撃も大丈夫な石頭になったぜ(笑)。
暁:ううん、痛そうだが凄いな…そこまで鍛えられたんなら不幸中の幸いというか、怪我の光明だな(真顔)
月:んなわけねえだろ、冗談だよ冗談(笑)。
※月刃丸が殴られて暁良があんまり殴られなかった理由は、月刃丸→殴られないと気合が入らないタイプ、
暁良→殴られると逆に萎縮するタイプ、ということを光透美なりに配慮したことによる。本人のコメントは
「日ごろの行いの差」(笑)。
69. これまでの人生で一番の自慢話をしてください。
|
月:そっちの趣味もないのにあれだけ女の着物着たことある男なんか俺くらいだろ。…やめた、このネタは
自虐的すぎる(笑)。鴨川で前すっげえでかい鯉が釣れたんだ。今まではでかくてもだいたい肘くらい
までの長さだったんだけど、俺の頭のてっぺんから腰ぐらいまであったな!…嘘じゃねえよ、ほんとだ
って(笑)。
暁:あれは本当に大きかったな。イツ花にあらいにしてもらってみんなで食べたんです。俺は…特に自慢で
きるようなことは。
月:お前はほんと、もうちょっと自分が世間から見てどのくらいかをちゃんと解った方がいいと思うんだけ
どな(笑)。一番かどうかは置いといて、主上から笛の腕前についてお褒めの言葉を頂いたとかいう話
はどうだ?
暁:別に、自慢したいような話でもないから…俺は褒められるために笛を吹いているわけではないし(苦笑)。
月:このくらい無欲じゃないと、ああいう音色は出ねえもんなのかな(笑)。
月:(…まだ引っ張るのか、この系統)うーん。まあ、懺悔といえばやっぱり初陣の話かなあ。お前もどう
せそうなんだろ。
暁:うん、懺悔というと真っ先に浮かぶのはそれだな…。
月:詳細はさっきの問いを見てもらうってことで次行こうぜ。繰り返しても面白いような話じゃねえしな。
月:おっ、いい感じの質問が来た(笑)。そうだな、子供を授けてくれるありがたい儀式ってとこかな?手
順は面倒だけどな。あと、じっとしてないといけねえから、ここだけの話寝そうだった。イツ花の鈴の
音がまたいい感じに眠気を誘うんだよ…ほんとに辛かった(笑)。寝たら流石に相手に失礼だから、必
死で膝のあたりを抓ってこらえてた。終わったら痣になってた、いやほんとに(笑)。
暁:(赤面)え、ええと。俺も月刃丸と同じ意見です。
月:え、どこが同じなんだよ。お前は退屈するはずないだろ?(笑顔)だってお前は――
暁:次行くぞ、次!
72. 交神のお相手、好きに選べるとしたら基準は顔?それとも遺伝情報?
|
月:ははあ(笑顔)。答えがいのある質問が続くなあ。俺はその神様の属性と遺伝情報だった。丈夫な子供
が欲しかったんで水の神様、その中でも強い力を持ってそうだったから鏡国天有寿様にお願いしたんだ
けど。見た目にはあんまりこだわらないな、中身が綺麗なひとは外側にもそれが出るもんさ。
暁:………(赤面)。い、遺伝情報。と属性、で。
月:相手が惚れた女だからだろ(←さらっと)。
暁:ちょ…!(赤面)だからそういう話は――
月:(質問集をめくる)諦めろ。この先しばらくはこんなのばっかりだ。
暁:? !(茹)
73. ここだけの話、交神相手の女神様のこと、どう思っていますか?
|
月:綺麗なひとだったぜ。「悲願成就をお祈りします」とか応援してくれたし、物静かそうだけどいいひと
だな、とも思ったかな。それに茅乃くれたから俺は大満足(笑顔)儀式だけで終わったのか、って?そ
ういう質問は野暮だろ(笑/そんなこと言ってるけど何もしてません)
暁:………(←固まってる)
月:諦めろ(←追い討ち)。ここだけの話、って言ってるじゃねえか。俺もここだけの話にしといてやるか
ら(笑)。
暁:わ…分かった…(赤面)。俺の交神相手は御鏡白山天様…先代様です。月刃丸が何度も言っているよう
に、その――俺の想い人でした。恥ずかしい話ですが、先代様を氏神推挙した時は、本当にそのお力が
後々のためになるからと思ったためで。俺自身は、月刃丸と同じく水の神様…月刃丸が鏡国天様を交神
相手に、と言うので、じゃあ上諏訪様にお願いしようかと本気で考えていたんです。月刃丸に「惚れた
女が氏神なのに何で他の神様と交神するんだ」と言われて、ようやく己の好いている女人が交神可能な
立場にあることを自覚しました…(赤面)。
月:お前天然にもほどがあるぞ…(笑)。俺はてっきりお前がそのつもりで麗佳さんを氏神推挙したのかと
思ってたからさ、おっ暁良やる時はやるじゃねえか、なんて内心感心してたんだぜ。感心して損した
(笑)。
暁:言われるまで本当に気づかなかったんだ…(苦笑)。先代様は人となりも尊敬できる方だったし、お持
ちだった力量も申し分なかったから、きっと一族の力になって下さる、と思って…。俺は先代様より九
ヶ月も年下だから、告げることは最初から考えていなかった。だから自分が交神するなんていう発想も
全くなかったんだ。…月刃丸。聞いておきたかったんだが、お前はいつから俺の先代様への気持ちに気
づいてたんだ…?
月:いつごろだったかな、結構前から(笑)。
暁:そ、そんなに分かりやすかったのか、俺は…(沈)
月:いや。お前と麗佳さんと一緒に討伐に出る機会が何度もあったからかな。生き死にかけたところだと、
結構そういう感情って何となく見えるんだよな。お前がだんだん戦に慣れてきたな、っていう辺りから
あれっ?って(笑)。で、俺に指摘された後の第一声が「それは当主権限の濫用じゃないのか」だろ
(笑)。 笑った笑った。
暁:笑うな(赤面)。間抜けにもほどがあるだろう、自分で推挙した氏神の方と交神するなんて…お膳立て
をしたようなものじゃないか。
月:普段のお前を見てるから、みんな誰もそんなこと思ってねえよ(笑)。実際みんな、へーよかったねー
って言う反応だったじゃねえか。
暁:た、確かに戻ってきた時の武虎(※麗佳が生前にもうけた子供)の第一声は『妹だろ?!絶対妹くれよ
!』だった…(苦笑)。
月:あいつ、お前が交神に行ってる間、絶対可愛い妹が欲しいってずっと浮き足立ってたぞ。炎華はフーン、
お似合いなんじゃないって感じで、景雅は年上の女か、当主様やるなーとか言ってた。萌香(※光透美
の子)は数ヵ月ごしの恋が実るなんて素敵ね!って勝手に盛り上がってた。
暁:……普段俺はみんなからどういう認識をされてたんだ…?
月:お膳立てできるほど色恋に器用な当主様じゃないってことくらいは、みんな知ってるだろうな(笑)。
暁:………(←頭抱え)
74. 一族間でのロマンスについてあなたの考えは?
|
月:身近にそういうのがいるからな(笑)。惚れた女と添い遂げられるなら、凄く幸せなんじゃねえの。
暁:だ、だからそういうことを言うな(赤面)。ただ…俺が先代様のことを好いていて、先代様よりも先に
交神することになったとしたら…どうだったかな、と考えることはあります。恐らく一族として交神し
て血を繋ぐことは、悲願達成のための義務であるから拒否することはないでしょう。しかし交神相手は
必ずしも恋仲の方ではない、むしろお会いしたこともない神様なのだから、そうでないことの方が多か
ったはずです。だから…心を先代様に向けたまま、交神することは相手の神様にも子にも、後ろめたさ
があったかもしれないな、と…そう思います。
月:んなもん考えたってしょうがねえだろ。お前は実際には麗佳さんと交神して子供もらえたんだから、幸
せ者なんだって(笑)。
暁:う、うん…(赤面)だから逆に少々申し訳ないな、という気持ちになることもあるよ。誰か添い遂げた
い相手がいた者も過去にあったかもしれないけれど、氏神という形でなければ完全に結ばれることはで
きないだろう?必ず他の神様との間に子を為すことになるから。
月:何でそこでお前が後ろめたくなるんだよ(笑)。好きでもない、見たことない相手と餓鬼作るのはお偉
い連中にはよくあることだし、そもそも取り立てて惚れた相手がいないやつなんかは、大抵ほぼ初対面
の神様と交神するんじゃねえか。俺を見ろ、遺伝情報と属性だけでお願いしちゃったけど、相手の神様
はいいひとだったし娘はすっげえ可愛いぞ(笑)。
暁:そ、そういうものかな。
月:とりあえず今いる連中はみんないいなーっていう反応なんだから喜べよ(笑)。武虎なんか、妹!妹!
ってそればっかりだぞ。
暁:さすがに男女の指定はできないぞ、武虎…(苦笑)。どうやら生まれるのは女の子のようだけどな。実
際来るまでは断言できないから、黙っておくよ。来てのお楽しみの方がよさそうだし(笑)。
月:じゃあいつの野望達成だな。今までは香霧さんにぞっこんだったけど、今度は妹にぞっこんになるんじ
ゃねえか?(笑/武虎はそれはもうこの後大変なシスコンになりました。ちなみに暁良の娘はファザコ
ン)…ところで、お前ちゃんと麗佳さんを嫁さんにしてきたんだろうな?
暁:なっ!何だ急に?!(赤面)
月:交神は儀式だけだけどな。その後何もしないのは男として失格だぞ、って念は押したはずだぞ、俺。
暁:う…まあ、その。…うん(赤面)。
月:じゃあいいや、俺一番そこが心配だったからさー。だってお前下手すると何も手出さずに帰ってきそう
なんだもんな。
暁:正直に言ってしまうと、先代様が迷惑に思っていないか、ということは交神直前まで気になってた…
(苦笑)。
月:あーやっぱり…。まさか未遂じゃないだろうな?(苦笑)
暁:いや、それはない(赤面)。
月:麗佳さんが迷惑に思うことは絶対ない、って俺があれだけ言い切ったじゃねえか。実際、俺の読みは当
たってたろ?まったく…お前生真面目にも程ってもんがあるぞ。
暁:…うん。ごめん、それについては本当に耳が痛いんだ…(苦笑)。
月:地獄だとあんなに頼りになるのに、何で色恋になるとここまで手がかかるんだよ(苦笑)。
暁:でも、月刃丸の口ぶりはまるで先代様の気持ちも分かってたみたいじゃないか…何で分かったんだ?
月:あ、これも何となく見て分かる感じだったからかな(笑/←さらっと)
75. 「外」の人とのロマンスについてあなたの考えは?
|
月:うーん。そもそも外の人はそういう対象として考えたことがないからなあ、考え以前の話だ。
暁:光透美さんの母上(※美苑。美晴の双子の姉)が、外の人と恋仲だったという話は聞いたことがあるよ。
月:へえ、そうなのか。光透美姉自分のことは全然言わないからなー。
暁:俺も光透美さんが亡くなった後、イツ花からちょっと聞いただけなんだけどな。阿部晴明と懇意にして
いた剣士なんだそうだ。光透美さんの母上とは、選考会で会ったらしいよ。
月:あれ、選考会じゃ阿部晴明社中にそんな人いなかったけどな…どういう結末だったんだろうな。
暁:やっぱりご自身からは言いづらかったようで…麗佳さんの母上(※美晴)がそのまま終わってしまって
いいのか、と…晩年になってから背中を押し出すような形で、相手の人のところで数日すごした、とか
そんなことを聞いたよ。その後相手の方は出家されたそうだ。
月:ふうん。だから見かけなかったのか。相手の人は死に別れてどんな気分だったのかね…まあ、出家した
くもなるかもな。
暁:さあな…こればっかりは、当事者じゃないから分からないな。相手が余命いくばくもないと分かってい
て、自分自身はこれから何十年も生きていく、という状況が…どうしても少々想像しづらい。ただ、忘
れることなどできないだろうからな。辛いかもしれないし、その想いを抱えて静かに生きていくのかも
しれないし。
月:そうだな。結局想像の域を出ないな、外の人とそういう話になる予定もないし(笑)。
76. 「外」の人たちから、自分たちはどう思われていると思いますか?
|
月:買い物は普通にできるよ。釣り針職人のおやじも別に俺が御鏡の者だからって態度変えるようなことは
しねえし。ただいつまで経っても俺のこと坊主呼ばわりするのはやめてほしいんだよなあ、俺もう元服
してんだからさ(笑)。
暁:呪いつきであること、武人であること…この二つの時点で、内裏の方では蔑まれるには十分な理由です
から…あちらは都の一般の方のようにはいきません。中には勿論、懇意にして下さる方もいらっしゃい
ますが、まあ…大抵の場合あまりいい目では見てもらえないです。残念なことではありますが…。
月:御鏡の踊り屋は見事な楽人揃いだ、って話聞いたことあるぞ。踊り屋、ってお前みたいな舞手のことだ
ろ。だから必ずしも悪い印象ばっかり、ってわけでもなさそうだよな。お前やお前の御父上のお陰なん
だろ、これ。
暁:俺というよりは、父上や祖父の三十代目当主様が土台を作ってくださったようなものだけどな…(照)。
俺自身、親しくもない人達の前で舞ったり笛を吹いたり、というのは見世物めいていてあまり得意では
ないんだが…それで我々の印象がよくなるのなら安いものだよ。
月:お前ほんとに大変だよな、お疲れ。麗佳さんは余計に大変だったろうな、女の当主ってだけで珍しがら
れそうじゃねえか。
暁:いや、先代様は先代様で、歌の見事さと漢詩を始めとする知識の豊富さで才女として一目置かれていた
みたいだ。
月:へー(笑)。
77. もし、「外」の女性から告白されたらどうします?
|
月:うーん。これも想像の域を出ないけど、多分困るな(笑)。困った後、相手が傷つかないような言い方
で断るんじゃねえかな。俺が死んだ後の相手が気の毒だし。
暁:俺も多分そうするでしょうね…自分とともにある時は幸せかもしれませんが、そういう時がけして長く
はない以上…また、先ほども申しましたが、遺された相手がどういう思いですごすことになるかがどう
しても想像しづらい以上…鄭重にお断りした方が相手にとってもいいでしょう。
月:もしそれでもいいから、って熱烈に迫られたらどうする?(笑)
暁:いや…それはないと思うよ(苦笑)。
月:(お前の場合ほんとにそういう女が出てきかねないんだよな…もうちょっと自分の見た目を認識しろよ)
月:いねえよ(←さらっと)鏡国天様?あのひとはお世話になったひとだから、好感も持ってるし感謝して
るけど、恩のあるひとと惚れた女ってのは一緒じゃないだろ。一緒にしたらあっちにも迷惑だろうし
(笑)。
暁:本当か?
月:お前にはそういう突っ込み向いてないんだからやめとけ、やめとけ(笑)。お前は今更言うまでもない
けど、ちゃんと質問には答えろよ。
暁:ぐ…(←二の句が継げない)。ええと、今更ですがその、先代当主様です(赤面)。
月:お前はいつまで麗佳さんのことを先代様って言い続ける気なんだ?(笑)麗佳さんでいいだろ。いい仲
になったんだから、さん付けもなんかよそよそしいかもな(笑)。
暁:ええと、だから麗佳さんです(赤面)。
月:うーん?そうだなあ。ひたすら守って下さいっていう姫様よりはしっかりした人がいいかな?
暁:俺も…芯がしっかりしている、毅然とした女性でしょうか。
月:そんな回りくどいこと言わないで、麗佳さんですって言えばいいだろ(笑)。
暁:先…麗佳さんをご存知ない皆様にはわからないだろう(赤面)。
月:鬼達の掃討がすすんでナマジ余裕が出てきたら、イヤミばっかり言う類のお偉い連中。いっぺん生身で
地獄に入ってみろって。たぶん三歩ぐらいで泣きが入るぞ、あいつら。
暁:先ほど申し上げましたが、元々彼らにとっては、武人はいやしむべき存在なので…そんな目で見られて
は、我々としてもいい気分にはなれませんね。嫌い、とまでは申しませんが深入りはしたくありません。
81. 嫌いな人や、苦手だな〜と思うのって、どんなタイプの人ですか?
|
月:まあ、やだなーと思うのは今言ったような類のお偉い連中だけど…。実を言うと光透美姉はちょっと苦
手だった…(笑)。嫌いとかそんなんじゃないんだぜ、なんていうか…逆らえないっていうか絶対服従
っていうか…むしろ天敵…?(笑)
暁:亡くなった人のことをこういうのも気が引けるが、実は俺もだ…(苦笑)。何故だかあの人の前では絶
対に逆らえなかったよな…。勿論俺も嫌いではなくむしろ人となりは尊敬しているんだが…。
月:ある意味鬼より怖いと思う(笑)。勿論面倒見いいしさっぱりしたお姉さんなんだけどな。うまく言え
ないんだけど、あの豪快さには無条件で服従しないといけない気になるんだよ(笑)。
82. あなたの周囲で一番変だと思う人は?どこが変ですか?
|
月:だから、光透美姉はかなり変わってたよな。あらゆる意味で女か?と疑いたくなるような…(笑)。ま
ず体格からして、俺らよりいいんだから。麗佳さんと仲良しでいつも一緒だったけど、すべてが麗佳さ
んと正反対っていうか(笑)。
暁:およそ恥じらいとかためらいとかそういうものが存在しない人だったな…(笑)。
月:光透美姉の娘の萌香も、不思議っていえば不思議だよな。萌香本人は可愛くて気立てのいい子なんだけ
ど、あの母ちゃんから何をどうやったらあんな小柄で可愛い子が生まれてくるんだ?(笑)
暁:いや、あの子はあれで結構言い出したら聞かない頑固さもあるんだ。戦場では真っ先に大将を狙いに行
くし、その辺は母上譲りなのかもしれないぞ(笑)。変わってる、と言えば武虎と景雅だろう。
月:おっ現役の変わり者どもを忘れちゃいけないよな(笑)。武虎は麗佳さんが生きてる間にもうけた子供、
景雅は香霧さんの子供なんだけどさ。景雅は香霧さんの御父上、つまりあいつにとっては祖父さんにほ
んとうに瓜二つなんだと。で、その祖父さんてのが極めつけの子煩悩、可愛い娘は誰にもやらん!って
人だったらしいんだ。…交神とか、どうするつもりだったのかね?(笑)
暁:確かにいつまでも少女のように可憐な人ではあったよな、香霧さんは。その息子である景雅は、可憐な
母上を独り占めしたいと思っていたのか…来訪間もない頃は、俺達が香霧さんに用があって話しかけよ
うとしても睨んでくるので、どうしようかと思いました(苦笑)。
月:別に取りゃしねえってのにな、母ちゃん(笑)。俺はそのうち直るだろってほっといたけど、お前結構
悩んでたろ(笑)。
暁:いきなり無条件で敵意を露にされるなんて思わなかったから…(苦笑)。イツ花は、「景憲様ったら香
霧様可愛さのあまり、すぐこの世に舞い戻ってきちゃったんですね!」なんて呆れていました。景憲様、
というのはその景雅に瓜二つな香霧さんの御父上のことですが…俺も案外イツ花の言うとおりなんじゃ
ないかと思っています。
月:で、俺らのこといつもそうやって睨むもんだから、遂に光透美姉からぶん殴られて、最終的には麗佳さ
んからお説教くらって反省してたな。…俺、正直に言って麗佳さんが怒るとあんなに怖いなんて思わな
かった(笑)。
暁:俺もだ…(苦笑)。先…麗佳さんが怒ったところなんて見たことがなかったので。俺が初陣の時も、頬
を張られはしましたが怒った口調ではありませんでした。むしろ諭すような感じだったので。
月:大抵は光透美姉が先に怒るからな(笑)。麗佳さんが怒ったらどんな風になるか、って?怒ってる、っ
ていうか…静かに低い声で訥々と説教するんだよ。なまじ静かだからすげえ怖いんだよ(笑)。お前、
麗佳さんから怒られないように気をつけろよ。
暁:お、怒られるようなことをするつもりはないよ(赤面)。…ええと、結局麗佳さんのお説教が決め手に
なって、景雅は俺達に心を開いてくれるようにはなりました。そうなってみると、案外気のいい子だっ
たので皆びっくりしたんですが(笑)。
月:で、そのちょっと後に来たのが麗佳さんの子供の武虎なんだけどさ。こいつがまた変なやつで、香霧さ
んを一目見るなり「香霧ねーちゃんってすっげえ可愛いよな!俺なんか初めて会った気がしねえ!」…
だもんな。景雅としては気が気じゃなかったろうよ(笑)。餓鬼がいきなり何言ってやがんだと思って
たけど。
暁:俺も当初、年上の女人に一目惚れしてしまったのかと思ったんですが…イツ花によれば、武虎は当家の
四代目当主様(※建)、香霧さんはその娘さんで当家の六代目当主様(※藤乃)によく似ているとか…
で、その四代目様というのがこれまた大変な子煩悩で、可愛い娘は誰にもやらん!という方だったそう
です。
月:親莫迦二人が執念でこの世に舞い戻ってきたんだろ、ってことで落ち着いたよな、結局…香霧さんモテ
モテだな(笑)。
暁:だから香霧さんが亡くなったときは二人とも大変な悲しみようで…それこそ、後追いでもするのではな
いかと皆を心配させたんです。しかしそれが連帯感を生んだのか、それまでは犬猿の仲だった二人が、
一転して親友のようになりましたね。安心しました。
月:最終的には丸く収まったよな(笑)。
83. 文句を言いたい人に今ここでぶちまけてください。
|
月:俺に女の着物を着せるな、企てに加担した女達全員に言いたい(笑)。あとイツ花は一緒になって喜ん
でないで助けろ。
暁:本当に大変だったんだな…(苦笑)。俺は特にないです。
84. 年取ったなぁ、と思わず思ってしまうのってどんなときですか?
|
月:なんか年寄りくさい質問だな(笑)。茅乃が育ってくとこを見てしみじみしてる時なんかは、俺もこう
いう気持ちになる時期になったか、とは思うけど。
暁:子供は成長が早いからな。傍で見ていると、あっと言う間だろう。俺もじゃあ、来月になるとそんな感
想を抱くことになるのかな(笑)。今はまだ特にないです、当主としてすべきことも色々あるので。
85. 「外」の人たちのこと、どう思っていますか?
|
月:うーんまあ、さっきも何度か言ってるけど人によるよな。外の人を外の人ってひとくくりにして見るよ
うなことはしねえよ。
暁:うん。いい人もいれば深入りしたくない類の人もいますから…外の人だからといってみんな同じように
見てしまうのは、御鏡の者を呪いつき、ということだけでひとくくりにしてしまう一部の人達と同じに
なってしまうので。
月:市の方に出入りしてるような連中は気のいいやつが結構いると思うな。がっちり足元見てくるしな(笑)。
86. ふたつの呪いが無かったら、どんな人生になっていたと思いますか?
|
月:うーん。御鏡はもともと鬼狩りの家柄なわけだから、似たようなことやってるか…じゃなきゃもっと好
き勝手なことしてみてえかな。釣り三昧とか(笑)。
暁:そうだな。鬼狩りか、そうでない生き方を選べるなら…先ほど申し上げたように、楽人として生きてみ
たいかな、と思います。
月:頼むから、塩と砂糖は事前に確認してくれ。今までその手の間違いは何度もあったけど、餡子だけは勘
弁してくれ(遠い目)
暁:塩辛い餡子というのは厳しそうだな…(苦笑)。
月:餡子嫌いがこういう時役に立ったな、あれはある意味俺の中で「一番印象深い出来事」にしてもいいぐ
らいだ…(苦笑)。
月:一言、か。何言やいいんだ?
暁:取り立てて言いたいことも言うべきこともないな。こちらとしては、戦えるようならいつでも応じる気
でいるけれど、あっちはまだ戦いたくないようだし。
月:勝手にやってきて挑発的なこと言って帰ってくからな。親玉は親玉らしく一番奥でのんびりしてりゃい
いのに。
89. 「氏神」さまについてあなたの意見を聞かせてください。
|
月:元々同じ一族だから、相性はいいんじゃねえかな。知らない相手よりゃ同じ一族の方が気楽かもしれね
えし。暁良、お前はどう思う?(笑顔)
暁:(ま、まだこの手の質問が残ってたのか…!)…氏神様と交神した身の上ですから(赤面)。同じ一族
の方が天界から見守っておられるかと思うと、心強いです。
月:それが惚れた女ならなおさらだよな(笑)。
暁:いちいち繰り返さないでくれ(赤面)。
月:うーん。あと倍の命があったらな、もしかしたら地獄の底まで辿り着いて俺らの代で決着つけられたか
もしれないんだけどな(笑)。
暁:倍とは随分大きく出たな(笑)。でも俺も同感だ、なるべくなら子供たちの代のために少しでも道を開
くなり、自分の手で決着をつけるなりしたかったからな。
月:嫌いっていうのも寂しい話だしな。そういうことにしとこうぜ(笑)。
暁:御鏡の家の者であることを俺は誇りに思っているので…嫌いであるはずがありません。
92. 人気ありますか?あるとしたらどの部分だと思います?
|
月:どうだろうな?とりあえず家の中は円満だけど、自分が人気あるかどうかっていう話じゃねえ気がする
な。外との交友関係もそう広いわけじゃねえし。香霧さんは景雅と武虎からモテモテだったけど(笑)。
暁:俺もそんなところだと思います、家族円満という話であって自分の人気があるなしではないかな、と。
93. これだけは誰にも負けない!といえるものは?
|
月:あ、俺結構足腰に自信あるんだぜ。短い距離を一気に走る速さなら負けねえ(笑)。
暁:月刃丸は討伐先では俺たちの前にいてくれるからな。槍を持って突っ込んでいく後姿は心強かったよ。
俺は、特にないです…まだまだ、至らない部分がありますから。
月:(二物も三物も四物も持ってるのに…ほんと自分のことになると認識が鈍いよなあ)
月:茅乃の指定席は俺の膝の上。期間限定だからこそ、そこは譲れねえ(笑)。
暁:大きくなったらそうもいかなくなるだろうからな…(笑)。俺は、これについても特にないです。そこ
まで気張るほど確固たるものがあるわけでもないので…。来月になると、月刃丸と同じことを言い出す
ようになるかもしれませんが(笑)。
月:(確固たるものならあるんだけどなあ、山ほど)
月:いや?別に。
暁:俺も、とりたてては…。
月:……(殴)
暁:な、何だよ?!
月:あれだけもらいまくってる文は一体何なんだよ、じゃあ。
暁:あれはあれで扱いに困ってるんだぞ…返事を書くだけでも手間になるが、日をおくと失礼になるだろう。
月:(こいつ、いちいち返事書いてたのか)そういうのをモテるって言うんじゃないのか?
暁:えっ?でも、俺はお断りの返事を書いているだけだから…(←真顔)
月:……(……こいつの中ではどういうことがモテるに該当するんだ)
96. 贈り物をもらうとしたら、何が嬉しいですか?
|
月:そうだな、やっぱり釣り道具かな?釣り針とか釣り棹とか…。いい道具なら腕が上がった気になるだろ。
ほんとに腕が上がるわけじゃないけどな(笑)。
暁:俺は…音色のいい笛や絵を描く道具、でしょうか。
97. こんちくしょー、家出してやる!と思ったことはありますか?
|
月:女の着物を着せられるたびに思ってた…(笑)。女の集団は残酷だぜ、ほんとに。
暁:俺は特にないです。…大変だったな…(苦笑)。
月:ううーん。男二人で質問に答えてる状況で聞かれても困るなあ(笑)。多分俺のことだから、あんまり
捻ったことは言わないんじゃねえの。お前が好きだ!ってズバッと言うぐらいで。あんまり気障な台詞
ってのも笑っちまうしな。俺が(笑)。
暁:……(←本気で困っている)
月:そんな真剣に考え込むなよ…(笑)。気軽に答えればいいんだって。
暁:女人を口説く、という行為自体をしたことがないので…(困)。これは、お前の答え方を聞いていても
相手に自分の気持ちを伝える、とかそういうことでいいのか?
月:まあお前の場合、女を口説く必要なんかなかったもんな(笑)。そんなもんでいいんじゃねえの。
暁:そこは混ぜっかえさないでくれ(赤面)。ええと…俺もあまり回りくどいことは言いたくないので…大
体月刃丸と似たような感じになると思います…。
月:実際のところはどうだったんだよ?
暁:……(赤面)いや、だから実際のところはそんな感じだったんだ。
月:じゃあそう言えよ(笑)。お前、そんな調子でお断りの返事とやらはちゃんと書けてんのか?
暁:あれはあくまでもお断りが主旨だからな…(苦笑)。相手に対して失礼にならないように、ということ
は念頭に置いているが、それとこれとは全く違うよ。
月:本命じゃないんだもんな、そりゃそうか(笑)。
99. 見事朱点打倒を果たしました!そのときあなたの心境は?また、その後の人生についての希望はありますか?
|
月:うーん、現実にならなくて残念な感じの質問だな(苦笑)。嬉しいとは思うけどな。これからずっとみ
んな一緒に暮らせるわけだろ。
暁:現状ではまだ届かないので、想像にはなりますが…俺も月刃丸と同意見です。
月:嬉しくないやつは多分いないよなあ(笑)。
暁:俺の父上が亡くなった時、泣いてる俺の横でそんなことを言ってくれたっけな。呪いが解けたらみんな
一緒にいられるよな、俺らが頑張ったら呪い解けるかもしれねえよな、って。
月:お前ほんとよく覚えてるよな…(笑)。まあ、頑張ったけど微妙に届かない雰囲気だからなあ。
暁:結果としてはそうなったけど、あの時ああ言ってもらえて俺は嬉しかったよ。
月:なんだかんだで結構長々と語っちまったな(笑)。お疲れ。
暁:懐かしい話も色々できたし、俺は楽しかったよ。お付き合い下さり有難うございました。
この質問は、水月若穂様が『俺屍息子さんへ100の質問』として作られたものをお借りしました、有難うございました!