*六*
討伐ばかりの日々。鬼を屠り、ひたすら前へだけ進んできた。
将臣も残月も…そして狭穂も、よく戦ってくれる。
あとは、あたし自身の命を子孫に繋ぐだけ。
そう、きっとあたしは幸せなんだ。
きっと――
冬の冷たく張り詰めた大気が、庭から見える蒼穹を更に蒼く深く映し出し、庭に残っている雪と鮮やかな対比を為
している。どこか遠くで、鳥の鳴く声がした。交神の儀を来月に控えた八代目当主は、ぼんやりと簀子に座り込んで
それを眺めている。
イツ花から前もって「交神のお相手決めといて下さいね」と言われてはいたが、実はまだ全く見当をつけていない
のだった。
静流の『幸せ』は、娘の狭穂を授かることで得られたけれど、今まで戦うことしかしてこなかった自分である。子
を育てるなんてできるだろうか。相手の神様にはどう振舞ったらいいのだろうか。
雷矢の時は、彼の持てる力の弱い部分を補ってくれる神を、という彼自身の希望から鈴葉が決めたのだが(それで
も雷矢は「美人だ」と不謹慎に満足していた)、いざ自分のこととなると、妙に照れくさくなってしまってまともに
決められず、先延ばしにしていたのが真実だった。無論、家の者には口が裂けてもそんなことは言えないのだが、そ
ろそろ決めねばなるまい。
「当主様…」
そんな風に思案していると、後ろからイツ花が声をかけてきた。振り向くと、イツ花は部屋の入口にちんまりと座
り込んでこちらの様子をうかがっている。
このそそっかしい娘がこういう行動に出るときは大抵、何かをやらかした時である。鈴葉はイツ花に向き直ると、
頬杖をついて薄く笑った。
「…イツ花。今度は何壊したんだい。怒らないから言ってみな」
「あ、ちちち違いますよぉ」
イツ花は慌てて顔の前で両手を振って否定した。せわしなく両手を振っていたと思ったら、今度はその両手で膝の
上の前掛けをいじくりまわし、妙にもじもじしている。明らかに挙動がおかしい。
「あのぉ、当主様」
「ん?」
「交神の御相手――決められましたか?」
イツ花の問いに、鈴葉はああ、と曖昧な返事をして苦笑した。執り行い役のイツ花としては、早いうちに相手にも
その旨を伝えておきたいところなのだろう。
「そろそろ決めないと、とは思ってたんだけどね。当主がまだお相手をきめてないのも問題だ。悪いけど、もうち
ょっと待ってくれるかい」
そう返事をすると、イツ花は予想外の反応をした。心底安心したようにああよかった、と息をつき、ところで、と
再びもじもじする。
「何と言うかその――どんな神様がいいとかそういうご希望ってありますか?例えば風の神様がいいとか、火の神
様がいいとか――」
何故イツ花はこんなにもじもじしているのだろう。鈴葉は瞳を瞬かせて、訝った。天真爛漫が着物を着たような気
性のイツ花が、まさか交神の儀の話で照れているはずもあるまい。どことなく不穏だ。
「そうだね――」
それはともかく、鈴葉は考えた。
「特にない、といえばない、かな。あたしの力の弱い部分を補ってくれる――そんな神様である、っていう以外に
は特にない…って言っても大雑把過ぎるか。ええと」
当主のその返答に、イツ花はああよかったと再び大仰に息をつくと、何かをうかがうような顔をした。
「じゃあ――あの、あのですね。イツ花にちょっと心当たりがあるんですけども――」
…何なんだ、これは。
儀式の装束を身に纏い、仰々しい扉の前に立ちながら、鈴葉は困惑していた。長い歳月を経て黒褐色を帯びた木製
の扉には、不可思議な文様が刻まれている。封印が施されているのだ。
日下部家の近くにある社の中の、この扉。扉の向こうは天界と繋がっている。交神の儀が執り行われる、『交神の
間』の扉であった。
イツ花の言う『心当たり』というのは、相当に神格の高い神であるらしく、かなりの力を秘めているように思われ
た。が、何という名のどんな神であるのかは、イツ花は教えてくれなかった。
「――実はですね。前代未聞のことなんですけど」
と、イツ花も肩をすくめて前置きした。
「是非当主様の交神相手になりたい、とお望みの神様がおられるんです。んでもって、それに対して昼子様のお許
しが出ちゃいまして。お相手の神様は、もし当主様のお気に召さないようならばそれで一向に構わないと仰ってます
から、とりあえずお会いになっていただけませんか…」
あまりにも予想だにしなかったことだったので、考える部分が麻痺してしまったらしい。何も言うことができず、
イツ花に言われるままに頷いて、あれよあれよという間にここまで来てしまった。思いがけず胸が早鐘を打っていて、
それがまた鈴葉を動揺させた。
戦い一辺倒の自分の交神相手に進んでなりたいなどと、酔狂な神がいるのか。
何故そんなことを望むのだろう。一体どんな神なのだろう。
――もし、とんでもない醜男だったりしたらどうしよう。
そんなことまで考えてしまってから、ふと我に返って赤面した。まったく、ここまでうろたえるなんてらしくもな
い。とにかく、その神様とやらに会ってみればわかることではないか。
イツ花が厳かに交神の間の封印を解く。何も手を触れていないのに、音もなく扉が開いた。胸は相変わらず激しく
鼓動を打ったまま、鈴葉は努めて平静を装って、扉をくぐった。
中は、まばゆい金と銀との光の帳が幾重にも落ちていた。床は木に似ていたが、木ほど硬くもなく、だが柔らかく
もなく、不思議な感触がした。
その床に描かれた方陣が、二つある。一つは自分が入るもの、もう一つは神が入るもの。互いの命の源を映し出し、
赤子を育んでくれるもの。
そこに、一柱の神が座していた。
背には金色にたなびく焔の翼。黒い絹糸の滝のような髪は、腰まで豊かに流れ落ちている。滑らかな肌は鳶の羽の
色、その額には肌と同じ色をした一本の角。風貌は歳若く、少年といったところか。真夏の山々を彩る色をした瞳は、
深淵のように深く風のない水面のように静かで、あどけなさの残る顔立ちに見た目の年齢を超越した凛々しさを与え
ている。
鈴葉は、彼を前にして脚が凍りついたように動けなかった。
知っている。
自分は――この神を、知っている。
伏し目がちに座していた神が顔を上げ、少年の声で口を開いた。
「僕は…金翔天竜馬、と申します」
「あたし…は」
声が掠れた。記憶を探る。視線が宙に泳いだ。
「あなたを知ってる…。そうだ、大江山であたしを見ていた――あの影?」
仮そめの朱点が死に、封じ込められていた神々が開放された時。まばゆい光の中、自分を見つめていた一つの影。
負けないで、と言ったあの影だ。間違いない。
少年神は、はにかむように微笑んだ。
「覚えていてくれたんですね。そう、僕はあの時大江山の朱点童子を封じていた神の一柱です…」
「負けないで、っていう言葉も…あなただったんだね」
金翔天竜馬は、母親に返事をする子供のようにこくんと頷いた。
「何で――」
顎が空回りしているような気がする。きちんとしゃべれているだろうかと、鈴葉は少し不安になった。
「何で、あたしにそんなことを…?ううん、どうしてあたしなんかと交神したいだなんて」
「…貴女のことは、朱点の『中』から見えていました」
金翔天竜馬は、そう言って鈴葉を見上げると沈痛な顔をした。
「大江山の朱点が死ねばどういうことになるか、中にいる僕にはわかっていたけれど…僕たちは、交神の儀以外に
日下部一族に干渉することを、昼子様から固く禁じられていました。真実を告げることも…戦いの手助けをすること
も、すべて。だから、あのくらいしか…僕にはできませんでした。その後も、貴女が苦しみながら気丈に戦い続けて
いるのをただ――ただ、見ているだけの自分が本当にもどかしかった」
金翔天竜馬は長い衣の裾を引いて立ち上がった。上半身に纏った、鱗を模した漆黒の甲冑が重々しい音を立てる。
「あの時から…何者も恐れず、前だけを見つめている真っ直ぐな貴女が…とても眩しくて。そんな貴女の力になり
たいと、ずっと…ずっと思ってきました。その、つまり――」
金翔天竜馬はそこで言葉を切ると、瞳を伏せて逡巡するようにゆっくりと数度瞬きをし――意を決したように唇を
引き結んで、深い緑の双眸で鈴葉を見つめた。
「――僕は、貴女が…好きになってしまったんです」
金翔天竜馬がそう言ってから、たっぷりと十数えるくらいの沈黙の後。鈴葉が実に間の抜けた声を出した。
「……へっ」
また、考える部分が麻痺してしまった。
鈴葉は呆然と立ったまま、眼前の神を見つめ返す。今、彼は何と言っただろうか。自分の聞き間違いだろうか。
…もしかしてこれは。
鈴葉は眼前の少年神をぼんやりと眺めた。
いわゆる――愛の告白というやつか。
半ば止まってしまった思考でようやくそこにたどりついた鈴葉は、改めてその事実を認識しなおすと一気に茹だっ
たようになってしまった。茹だったどころか、頭頂から湯気を噴出しそうな勢いだった。
「――ちょ、ちょちょちょっと何だって?!」
しかも、勢い余って声が裏返ってしまい、それに気圧されるようにして金翔天竜馬がのけぞった。
これは一体どういう風に振舞ったらよいのだろう。何分、そういうこととは全く縁のない生活を送ってきた身であ
る。紅蓮の祠ですら感じたことのない頬の熱さが、更に鈴葉を狼狽させた。
そこで初めて執り行い役のイツ花のことを思い出した。藁にもすがるような気分だったが、振り返った先にはイツ
花はいなかった。
イツ花は、一人と一柱の間で話がつくまではと思って席を外していたのである。彼女にしてみればかなり気を利か
せたつもりだったのだが、この場合は裏目に出てしまったのだった。
心底イツ花を恨みつつそうっと向き直ってみると、照れたような困ったような顔をした少年神が、方陣の上に立っ
たまま自分を見つめている。
――逃げたい。
どんな鬼も恐れず、生まれてこのかた一度も後ろを見せたことのない鈴葉だったが、この時ばかりは本心からそう
思った。耳の直ぐ近くで、自分の鼓動の音ばかりがやけに大きく聞こえる。鈴葉は振り向いた状態で固まったまま、
それ以上動くことができない。交神の間に、実に重い、重い沈黙が流れた。
「…あの……」
沈黙を破ったのは、金翔天竜馬の方だった。肩を心持ち竦めるようにして、叱られた仔犬のようなしょんぼりした
顔をする。その様子は、初めて見た時の凛々しさとうって変わって初々しいというか、見た目の歳相応というか。
「すみません…その…やはり、困りますよね。唐突にこのようなことを言われても…。イツ花にも無理を言ってし
まいましたし」
鈴葉は慌てて、あ、いやそのなどと口の中で呟いて、首がすっぽ抜けてしまうのではないかと言う勢いでぷるぷる
ぷると首を振った。
「ああああの、そうじゃなくって――えぇとその」
ああ畜生、と鈴葉は自身に気合を入れなおすかのように、軽くぴしゃりと片頬を叩いた。それで幾分落ち着いたの
か、大きく息を一つつくと唇が元通りに動くようになった。心の臓は、相変わらず忙しく動いていたけれど。
「違う…んだ、その…あたしは…あたしは、あなたが思ってるような立派なやつじゃないんだもの」
俯き加減になっていた少年神が、その言葉に驚いたように顔を上げる。
「大江山の時は…何も知らなかった。あたしはまだ元服前の子供だったし、あいつさえ倒せば全てが終わるって――
本当に信じていたから、そう言う風に見えたんだよ。でも…何も変わらなかった。当主を継いでからは、がむしゃら
に戦ってきただけ…お母さんや姉さん、みんなに支えられてここまで来た、それだけなんだ。買いかぶりだよ」
鈴葉の口元に、僅かに自嘲的な笑みが浮かんだ。が、ふとその表情が緩む。
「…そう――支えられていたと言うならもう一つ。負けないで、ってあなたが言ってくれた。それもあったから踏
ん張れた…有難う。ずっと、お礼が言いたかった」
鈴葉につられるようにして、金翔天竜馬は再びはにかむように微笑んだ。
「僕のしたことが、貴女のお役に立てて嬉しいです…でも」
金翔天竜馬は、ゆっくりと歩みを進めて方陣から出る。目の前に立った彼の背丈は、鈴葉より少し高い程度だった。
静かな双眸に見つめられて、鈴葉はたじろいだ。
「貴女は、がむしゃらに戦ってきただけだと仰る…でも、それだけだとは僕には思えないんです。大江山の頃から
変わることのない貴女の、真っ直ぐで優しい心があったからこそ――皆、当主として貴女を信頼し共に戦ってきたの
ではないですか。僕は…大江山での貴女が、ではなく…大江山で出会ってからずっと、そんな貴女が好きでした…」
少年神が一歩前へ出ると、反射的に鈴葉は一歩後ろに下がってしまった。
「よろしければ…貴女の命を繋ぐ役割、この金翔天竜馬に預けていただけませんか…」
金翔天竜馬が静かにそう告げた後、再び沈黙が落ちた。鈴葉は思考が麻痺したまま、眼前の神を見つめかえすばか
りだった。その時。
「…あれ…?」
ぽろり、と鈴葉の瞳から、大粒の涙が転がり落ちた。もう一粒。更に一粒。途方に暮れた顔をしたまま、鈴葉の両
の瞳は持ち主の意思とは関係なく、ぽろぽろと涙の雫を落としつづける。これには、金翔天竜馬も大慌てに慌てた。
「ぅううわあぁっ?!」
神の威厳など微塵もなく、見た目相応の少年の顔で、涙を零す愛しい娘をおろおろと見守るばかりである。頬にた
くさんぶら下がっては落ちる涙を拭ってやろうかと差し出した手は、それ以上出していいものだろうかと、中途半端
な位置で止まったままになってしまった。
「あ、あの…すみません。貴女を困らせるつもりはなかったんです。本当に、その、遠慮なく断ってくだ」
「ち、違う…」
竜馬の言葉を、弱々しく上げられた手と声が遮った。俯いたまま涙を落としつづけながら、鈴葉は金色の頭を振っ
た。何かを言いたいような気がするのだが、その後が喉につかえたまま出てこない。
一体何が言いたいっていうんだ。どうしたらいいんだろう。
半ば悲鳴に近い金翔天竜馬の声に驚いて、思わず交神の間に入ってきてしまったイツ花は、中の様子に呆気に取ら
れてしまった。
俯いて泣いている当主と、その前でまごまごしている金翔天竜馬。状況がよく飲み込めずに、眼鏡の奥で瞳をしぱ
しぱさせていると、先に金翔天竜馬がイツ花に気づいた。
「い、イツ花。どうしたらいいんだろう…僕は…僕は、鈴葉殿を泣かせてしまった」
心底狼狽して凛々しい眉を八の字にし、イツ花と鈴葉とを見比べながら竜馬がそう言った時。鈴葉もイツ花の方へ
振り返った。
「イツ花…どうしよう。止まらない…止まらないんだ」
男顔負けの剛勇で知られた当主が、迷子の子供のような顔で涙をぽろぽろと流していた。イツ花は丸い目を更に丸
くしたが、一寸後に何が起こったのかを察したか、母に似た優しげな笑みを浮かべて当主にそっと囁いたのだった。
「…そういう時はですね、当主様。『謹んでお受けいたします』って言っちゃえばいいんですよ」
鈴葉が二度、三度瞬きをすると、金色の双眸からほぼ同時にぽろりと涙の粒が二つ転がり落ちた。
「…何だ。そんなことだったのか…」
頬に透明な粒を幾つもつけたまま、鈴葉はにっこりと笑う。そうして、自分より少しだけ背の高い少年神に向って
――頬を染めながら告げたのだった。
「はい。謹んで、お受けいたします」
「有難う…鈴葉殿」
金翔天竜馬は鈴葉に微笑み返すと、大切な宝物でも扱うかのようにそっと抱きしめる。抱きしめてくれた腕は、そ
の歳若い容貌にしては意外にたくましかった。
そうして、鈴葉は交神の儀に及んだ。
水がぬるみ、猫柳が芽吹く頃。日下部家では、朝から慌しい。表面上は別段どこも慌しくないのだが、その実八代
目当主がそわそわしている。本人は普段どおりに振舞っているつもりなのだが、よくよく観察してみると柱に肩をぶ
つけたり、上の空になってみたり、衣の裾を踏んで均衡を崩しかけたりしている。
だが、彼女が勤めて平静を保ちながらも、そのような振る舞いになってしまう気持ちは誰もがわかるところだから、
将臣も残月も狭穂も、あの剛勇無双の当主にもこんな一面があったのかと驚く反面、遠目に微笑ましく思ったりもす
るのであった。
「当主様―」
イツ花の元気な声が響いてきた時の当主の反応はといえば、文字通り弾かれたような立ち上がりっぷりであった。
残りの三人も、いよいよかと後を追う。
息せき切って玄関に到着した彼女を待っていたもの。それは。
「――金翔天竜馬様のもとより、御子を預かってまいりました。男の御子様ですよ」
襟足が焔のごとく逆立った、真紅の髪。自分譲りの、きかん気の強そうな深淵の色をした瞳。
鈴葉と金翔天竜馬の、命を受け継いだ子。
鈴葉は大きな瞳を見開いて、自分をきょとんと見上げている息子を凝視する。雪が春の日差しを浴びて溶けるよう
に、見る見るうちに相好が崩れた。
「よく、来たね」
跪き、息子の小さな体を抱き寄せて、その存在を確かめるように強く抱きしめた。
「強くおなり。あたしよりも――お前の父神様よりも、もっと強く」
柔らかさを増した春の光、その帳の向こうからヒバリが鳴く声がする。
――鈴葉。あなたは幸せかしら?
今は亡き姉。冬のある日に、愛娘を眺めながら浮かべていた穏やかな笑み。それに応えるように、鈴葉も息子の小
さな肩に顔を埋め、微笑んだ。
姉さん。あたし、幸せです――
一〇二六年三月初頭。日下部家八代目当主鈴葉の子、来訪。
この後、飛炎と名づけられたその子が若干二ヶ月で当主となり、目覚ましい活躍をするのはまだ先の話である――。
――了――
<あとがき>
このお話は、2002年に俺屍オンリーイベントで出した同人誌のものです。本の方では、冒頭とラストが漫画、各章
ごとに台詞入りの中表紙を挟むという形式でした。大江山というのは一族にとってはやはり一つの山場であり、彼ら
が何を思い新たな戦いの場へと身を投じていくのか…というのは、解釈次第でいくらでも考えられますよね。日下部
の場合は、このような流れになりました。元々は『落ち葉の散る頃に』と同様にイメージだけで書いた話を、実際に
日下部家のデータでプレイした時の討伐隊にあてはめたものでして、その時のヒロインは鈴葉ではなく静流でした。
昔はその話を俺屍部屋に上げていたのですが、やはり元がイメージから来たお話であるだけに、修正が難しい箇所も
あり…大筋を変えず、静流ではなく妹の鈴葉の話として書きなおしたのが、この『幸-さち-』です。
朱点童子との戦いの前には、本来痩せ・太り仁王や石猿との戦いがあるんですが、入れようとするとどうしても話
が間延びしてしまうので、日下部の方の話では割愛しました(御鏡の大江山越えの話である『風ノ絆』ではちゃんと
登場してます)。また、朱点童子のマンボダンスは何をどうやってもアレは再現できないので(苦笑)、場面の雰囲
気にあわせて書いてみたらグロくなりました(え)
決戦前の朱点童子の口上も、同人誌ではほぼゲームでの台詞そのまんまで書いていましたが、サイトに上げるにあ
たり台詞を変えました。…どうも俺屍のイベントシーンや一族の最期の台詞まわしには、個人的にしっくり来ないも
のが多かったので…。
このお話のラストから、『束ねる者』へと話は続きます。『束ねる者』で垣間見える鈴葉の優しさ、強さはこのお
話からきているのでした。
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