<9世代目>
樹 いつき(1027年4月〜1028年10月)
土髪・水目・土肌 指南書右2下2
薙刀士
氏神名『大虚空日下部』
飛炎の第1子。彼の第一印象は『アムロ・レイ』(笑)。この髪の毛のくせっ毛具合+金髪
のため、とてもよく似ていた…ように思ったので。日下部家では唯一「炊事洗濯が得意のよう
で」と言われた子です(笑)。
体の火が低くダメージのいかない
妹を完璧に補佐する頼れるお兄ちゃんでした。死後、当家
唯一の火系氏神として昇天。遺言もキメてくれました。
小説『鎖』の中盤から登場。炊事洗濯の腕はイツ花の代わりを務められるレベルですが、戦
場ではむしろ誰かの補佐に徹する役回り。他人を仕切るのは苦手なのですが、討伐隊長の指示を
受けるとそれを十二分に生かす働きをするため、飛炎、
環、輝夜といった歴代の当主&討伐隊長
からも信頼されていました。暴走しがちな3ヶ月年上の
隼斗の女房役のような存在で、性格が何
もかも正反対なためかえって大変に仲良しでした。
輝夜が討ちもらした敵は樹が確実にトドメをさし、輝夜が怪我をすればすかさず妹に回復を進
言し…ということで管理人の中では真正のシスコン認定されています(笑)。まあ、こんな可愛
い妹がいたら可愛がりたくもなるよね!ってことで。その可愛い妹によりたくさんの血を残して
欲しくて、自分は交神を辞退しました。
本当は、輝夜の第1子である牙竜が来訪した際はまだ存命していたんですが、そのすぐ後に死ん
でしまうため、同人誌『華の色は』では話の流れ上登場させられなかったのが心残りです(汗笑)。
「こっちで鬼を斬るたびに、あの世の鬼が増えるとしたら…へっ…また斬るだけよ…」
輝夜 かぐや(1027年9月〜1029年3月)
11代目当主
火髪・水目・土肌 指南書右3下3
拳法家
飛炎の第2子、
樹の妹。とにかくよく笑うかわいい女の子だそうです。兄の樹は親神の摩利様の
遺伝子を大変によく受け継いだため火だけがかなり突出していたのですが、輝夜は見た目中々平
均的にいい遺伝子を持ってそうだったので、飛炎の後を継いで拳法家に。後を継がせた後、この
髪形じゃ戦ってるときに三つ編みが顔にあたってしまいそうだなと思いました(え)。回し蹴り
とかした時痛くなかったかなあ、バチーンて。『鎖』では、この髪型はパパの飛炎同様に、髪質
が針金のようで多いため、という理由をつけていたために、尚更当たったら痛そうだなあ…(^^;
実際、上の絵が示すように輝夜のお下げはかなりぶっといです。
見た目の素質はかなりよかったはずなのですが、体の火が予想外に伸びなかったので、父親の
飛炎が異常なハイパーぶりを発揮してただけに弱っちさが目立ってしまいました。ですが、兄の
樹が完璧にそれをフォローしてくれていたので、危ない目にあうようなことはほとんどありませ
んでした。
氏神に推挙されるものの、生前の物理攻撃の弱さが祟ったのと、娘の
朱鷺が輝夜の遺伝情報を
よく受け継いでいたのとで天には昇らず。それでも、技水が初めて900を突破し、この後20代目
くらいまで破られてませんでした(水の要素がなさすぎ)。氏神はみんな風と土ばっかりのくせ
に、パラメータは妙に火系の一族だったもんで。
小説『鎖』の中盤〜終盤、同人誌『華の色は』の冒頭で登場してくる日下部家11代目当主。
『鎖』では、父様大好きなファザコン娘で甘えん坊、兄様のことも大好きという可愛い女の子と
して登場しました。飛炎と樹はもうメロメロ(笑)。『鎖』では執筆当時全然年譜や家系図を見
返していなかったため、実は飛炎とは1ヵ月しか一緒に過ごせていません…(^^;
環が飛炎と交
神することについては、環のことも好きで実姉のように信頼していたので、ちょっとジェラシー
はあったものの(笑)、4ヶ月下の
緋魅迦のことはたいそう可愛がっていました。
『華の色は』で最初の子の交神相手に鎮守ノ福郎太を指名した理由は、「初めての交神は、父
様に似たひとがいいから」。勿論外見的にはまるで似てませんが、どちらも強い父性の持ち主と
いう点で共通しているので。イツ花が「それなら鎮守ノ福郎太様ですよ!」と自信満々に勧めた
ため、輝夜もそれじゃあ…と交神に臨んだわけですが、実際に会ってみて福郎太から本当に飛炎
に似通った温かさ、父性の強さを感じることができたため、輝夜は「あなたにお願いしてよかっ
た」と大変にご満悦でした(笑)。
輝夜は当主としてみんなの前に立つ時と福郎太と会話する時とで微妙に口調が変化してます。
みんなの前では当主様らしく時に優しく包み込むように、時にきびきびと動いているんですが、
福郎太と話すときはちょっと甘えたようなニュアンスが入ってきてます。実は『華の色は』を描
いている時は、この変化については全く意識してませんでした。気がついたら輝夜が勝手にそう
いう風にしゃべってた(笑)。元々結構なファザコン+妹属性のため、「このひとなら安心して
頼れる」という存在にはそういう態度になっちゃうんじゃないかと思います。当主の時は自分が
頼られないといけない存在だから、尚更なんじゃないかと。ただし、輝夜が福郎太に対して抱い
ていた感情は勿論、「父様に似たあたたかいひと」「頼れるひと」以外に異性として好きなひと、
というものも含まれていました。ほぼ一目惚れ(笑)。
それでも、輝夜は2人目の子の父神に福郎太とは違う神様(氷家から分社した氏神)を選びま
した。神様といえど得手不得手があるわけで子にもその影響が出るはずだ、みんなで戦をしてる
んだから親神は違う方がいい、力には偏りがない方がいいという判断からです。輝夜は、本心で
は勿論二人目の子も福郎太との交神で授かりたかったんですが、一族の今後のために私情を切り
離す意志の強さは飛炎譲りです。
福郎太は、交神の際の顔合わせの段階では、輝夜のことを日下部家当主として敬意を示すため
に「当主殿」と呼んでいましたが、輝夜から「父様につけてもらった名前、今は当主だから呼ん
でくれる人は誰もいないの。かぐやって呼んでくれると嬉しいな」と言われたので、以後は「輝
夜」と呼び捨てにしています。
少女のようなあどけなさと天真爛漫さを持つ輝夜は福郎太にとって新鮮で、交神の当初からい
いムードでした(笑)。『華の色は』では福郎太がエビスから「惚れたのか?」と茶々を入れら
れていますが、実際福郎太の方も輝夜のことを憎からず思っていました。
そんなわけで福郎太はこれ以後輝夜と彼女との間にもうけた牙竜のことを気にかけるようにな
り、輝夜が第2子・朱鷺の来訪に間に合わず急逝した際はお蛍のもとを訪れて最期の別れをして
います。その際、輝夜は福郎太にまだ見ぬ我が子への伝言を託して、幽世へ旅立ちました。
『華の色は』の輝夜と福郎太の別れのシーンを描いていて、フトそういや輝夜って氏神候補だ
ったんだよな…と思い出し、なんか妙に後ろめたい気分になりました。天界で福郎太とラブラブ
できるチャンスだったんだよな、ごめん…(汗笑)。
ちなみに、輝夜パパの飛炎は氏神なので福郎太は舅(笑)に会おうと思えば会えるわけですが、
実際会って飛炎が輝夜の「父様に似た人がいい」というコメントを聞いたら嬉しいやら照れくさ
いやら恥ずかしいやらで絶対激しく動揺したはずです(笑)。
「あんたたちと一緒なら、あたし何度でも…戦えるよ…」
緋魅迦 ひみか(1028年1月〜1029年8月)
12代目当主
火髪・水目・風肌 指南書左2下2
剣士
氏神名『日下部観音母』
環と氏神
飛炎の娘。見た目の色は全部パパ似、長い髪や顔の雰囲気はママ似のかわいい娘で
ございます。父親譲りの高い攻撃力と技力で、討伐先では頼れる存在。ちなみに彼女はこの血
筋から最初で最後に昇天した氏神でした。ほんとに飛炎の血筋ってすごいな。
よく考えたら、
隼斗・樹・輝夜・緋魅迦と全員同じ血脈になってたんだな、この時期。隼斗
は描き手のうっかりミスで親神別の血筋扱いになってますが(滅)
小説『鎖』のラストでは初陣直前の姿で登場。早くに母を亡くしたため、幼い頃は実姉にあた
る
輝夜によく甘えていましたが、成長すると輝夜に少しでも追いつきたい、という憧れのような
気持ちから見違えるほどにしっかり者になりました。輝夜も、長じてからの緋魅迦のことは妹と
いうよりは、安心して任せられる親友のように認識していました。そんな過程を経ているため、
元服後の姿で登場した同人誌『華の色は』では、クールビューティーな印象が強いです。
輝夜の命が尽きる時、輝夜は緋魅迦に当主の座を譲りました。ただし、その位置づけはあくま
でも繋ぎで、当時まだ能力が未知数だった輝夜の第1子・
牙竜と、自分が死んだあと来訪するで
あろう第2子(
朱鷺)の能力を見極めてほしい、との願いからでした。緋魅迦は喜んでそれを受
け、当主就任後は母親の輝夜と行き違いに来訪した第2子の朱鷺の面倒を見て過ごしていました。
輝夜と緋魅迦の絆はそれだけ深いものでした。
朱鷺の持つ「眼の良さ」を早々に見抜いたのも緋魅迦で、前線で戦うよりも後方支援に適して
いるであろうと大筒士にし、予想通り朱鷺が持つ司令塔としての能力の高さを評価して自分の死
に際しては朱鷺を後継として指名。ただし、朱鷺が内面にひた隠していた繊細さ、戦うことへの
恐怖心を見抜けなかったため、朱鷺は当主としての重責と鬼達が言い始めた「真実」に繊細な心
を押しつぶされてしまい、最終的に精神を崩壊させてしまうことになってしまいました。
緋魅迦がもしここで牙竜を後継に指名していたら、朱鷺の一番の理解者であった牙竜は自分の
死に際して繊細な気性の妹ではなく、
骸羅に後継を譲っていたはずなので結果は全く違うものに
なっていたと思います。緋魅迦は朱鷺の叔母にあたる(輝夜と緋魅迦が異母姉妹)ので牙竜の次
に近い身内ではあったんですが、朱鷺は兄以外の人には絶対に自分の弱い内面を見せようとせず、
気丈に振舞おうとしていたことも後々の悲劇に繋がることになってしまいました。
ちなみに、交神相手である月光天ヨミが緋魅迦の美しさと思慮深い気性を見初めたため、氏神
として昇天後は彼の妻として天界へ迎え入れられました。
「人生の至福の時なんてあったとしても一瞬よ。だから目を逸らしちゃダメ。見逃しちゃダメ
よ」
霧香 きりか(1028年6月〜1030年4月)
水髪・水目・水肌 指南書右2上2
槍使い
奥義『霧香大風車』、『霧香落雷撃』、『霧香万歳殺』、『無敵陣霧香』を創作
同人誌『華の色は』の序盤に登場。同人誌の方では、
牙竜・
朱鷺兄妹と一緒に討伐隊として出
陣し、槍を手に勇ましく戦っているんですが、あまり話にはかかわってこない位置づけのため、
作中での性格的な描写はあまりしていません。
そんな霧香の人となりはといえば、見た目が全部水、という優しさが前面に現れた子らしく気
配りの細やかな女の子で、姉のように慕う
輝夜・
緋魅迦のことをこまごまと補佐していました。
戦場でも勿論頼りになりましたが、戦って一休みしてる時の食事やらなにやらの気遣いで、先陣
を切る2人のことを精神面でサポートしてる感じでした。
輝夜も緋魅迦も、そんな末の妹のような霧香のことをとても可愛がっていました(実際、霧香
の母神は飛炎の祖母にあたる
魂子だったので、血のつながりはあったわけです/もうちょっと考
えて交神しましょう)
討伐先で発揮する栄養面や衛生面での心得は、来訪時1歳2ヶ月だった
樹が家事をしている後ろ
を、興味津々でくっついて歩きながら取得したものです(笑)。霧香は小さい頃から繕い物や料
理が好きで、樹の手際には及ばないものの、手ずから教えてもらって中々の腕前になりました。
霧香にとってはそんな樹はずっと憧れの優しいお兄さんだったので、長じてから氏神となった樹
と交神、幼い頃からの密やかな恋が実を結びました。樹と交神した時、輝夜も緋魅迦も既にこの
世の人ではありませんでしたし、霧香も自分の気持ちを生涯通じて誰にも打ち明けることはあり
ませんでしたが、多分この2人ならば末の妹のように思っている子が兄と交神するのを喜んで祝
福したんじゃないかなと思います。その割に『華の色は』で話の流れ上、樹を登場させてやれな
かったのがほんとうに心残りでした(汗笑)。
遺言も優しさにあふれていたため泣けました。
「じゃ、先に行くけど、できるだけゆっくりおいで」
<10世代目>
牙竜 がりょう(1028年9月〜1030年2月)
火髪・風目・土肌 指南書左1下6
拳法家
氏神名『日下部大権現』
輝夜の第1子、
朱鷺の兄。福郎太パパ似の美青年v大筒士で防御力に不安がある妹をよく補佐
して、大事なところでは必ず3連打をぶちかましてくれるので大好きでした。
偉そうな名前の氏神『日下部大権現』として昇天したんですが、これ以後日下部家はしばらく
男の園(……)と化す為結局氏神としての出番はありませんでした。残念。
同人誌『華の色は』の主役の一人。福郎太の気性をよく受け継いだのか、面倒見がよく優しい
性格。妹の朱鷺が来訪した際には、既に母親の
輝夜はこの世の人ではありませんでした。輝夜の
後を継いだ
緋魅迦が朱鷺の母代わりとなってくれていましたが、牙竜ももともとの気性も手伝っ
て、幼い妹の面倒をかいがいしく見てやるようになりました。たとえ討伐直後で疲れていようと
も、妹が甘えてくればそれに笑顔で応えてやるといった感じで、牙竜は妹のことを自分と血が繋
がった本当に大切な宝のようなものに感じていました。兄、というか父親の心境に近いかもしれ
ません。
朱鷺が成長していくと、次第に妹が鬼狩の者として自分よりも優れた能力を持っていることが
明らかになっていきましたが、牙竜は人一倍繊細なのに、責任感が強すぎるため何でも一人で溜
め込んでしまう妹のことを案じていました。だから当主になった妹のことを常に影のように寄り
添って支えていましたが、時期は丁度髪狩りにさしかかり、ボス鬼たちや朱点童子が不穏なこと
を言い始める時期。朱鷺は当主としての重責と鬼たちの言葉の不安感、何よりも性格的に向いて
いない凄惨な戦いの中で精神の均衡を崩しつつありました。そのため、牙竜は妹のためを思って
交神を辞退。7ヶ月年が離れている以上、自分は必ず朱鷺よりも先に死ぬ。ずっとついていてあ
げられないけれど、その代わり可愛い子供たちに囲まれれば。張り詰めがちの妹の心も和らぐの
ではないか――そう思ったのでした。
朱鷺の意向により氏神として天界へ迎え入れられた後は、心残りであった妹の行く末を見守っ
いましたが、朱鷺が角を持つ実子・
伽羅の来訪で完全に精神崩壊してしまった後は誰よりも心を
痛め、父神である福郎太の協力を得て、妄念にかられ彷徨う運命にあった朱鷺の魂を正気に戻す
ことができました。
その後、異例であることを承知で最高神・太照天昼子に謁見し、当時の当主であった朱鷺の子
・
龍馬に「朱鷺に氏神の資格があるのなら、氏神として迎え入れることを了承して欲しい」と口
添えしてくれるよう願い出ました。結果、朱鷺は氏神として天界へ迎え入れられることとなった
のでした。
『華の色は』では控えめに微笑みながら妹を支える姿で描かれている場面が多い牙竜ですが、
こういう部分はかなりアクティブです。ついでに言うと、植物を育てることに対して致命的に不
器用であったり(何故か彼が世話をすると枯れる)、家でほどけきってる時はついウトウト…と
うたたねするなど、結構隙のある部分もあります。
鬼達の言葉で牙竜自身も少なからず不安を覚えていたはずですが、それに押しつぶされること
なく大切なものを守り支えようとする芯の強さは、福郎太が幼少時愛情こめて育ててくれたこと
によるものです(※煩悩)。しかし、こういうヌケてる部分があるのも福郎太のおおらかさによ
るものなんじゃないかと思ったりします(笑)。
牙竜が死ぬ間際に言った言葉は、遺していく妹に向かって言ってあげたのかもしれないな、と
『華の色は』を描き終った後あらためて見て思いました。
「転んだら、また立ち上がればいい。ただそれだけだ。難しくはない」
朱鷺 とき(1029年4月〜1030年10月)
13代目当主
火髪・水目・土肌 指南書左2下3
大筒士
氏神名『花芯日下部』
輝夜の娘。最初、『どっぷり』のままだったのを気づかずに輝夜が交神しちゃったので、初め
に生まれてきた時は当家唯一の虚弱児でした。体力は150程度しかないし、パラメータはすべて
50前後。ただし素質棒グラフはべらぼう。…というわけにもいかないので、リセットして『あっ
さり』にしてやりなおしたら、素質そのものは虚弱児の時の方が強かったです。うまくいかない
もんだなあ。
父神が氷家から分社した土神だったため、ぶっちぎりに技土の人。丁度この頃『ツブテ吐き』
を手に入れたので、鬼どもを散々に蹴散らしてました。最初の交神相手は日光天トキで、名前の
読みが同じであることに気がついたのは、サイト立ち上げに際して家系図を作ってる時でした…
(え)。交神時既に名前が「紫苑」だったので華麗にスルーしてました。けして狙ったわけじゃ
ありません(笑)。
同人誌『華の色は』の主人公二人目。朱鷺は幼い頃から繊細で感受性が鋭く、人一倍人見知り
が激しい子でした。来訪時既に母親の輝夜はこの世になく、輝夜の異母妹にあたる
緋魅迦が母親
代わりでしたが、7ヶ月年上の優しい兄・
牙竜によく懐いていました。草花が咲き誇っている様
を眺め、その形や色を愛でることを好み、およそ戦い向きではない気性でした。
それゆえに、鬼と直接得物を交えて戦うことがないのに、殺傷能力が高くその屍も凄惨なもの
になる大筒士という生業は、彼女の繊細な精神をぎりぎりのところまで追い詰め、逆にそのぎり
ぎりのところで鬼狩の者としての能力を研ぎ澄まさせていくことになります。
朱鷺は次第に討伐隊の中でも頭角を現していきますが、それは勿論彼女本人が望んだことでは
ありませんでした。一族の悲願に少しでも近づくために内面の脆さを隠しているだけで、笑顔の
下には不安と恐怖で押しつぶされそうになっている本心があることに気づいていたのは、兄の牙
竜だけでした。朱鷺も、兄にだけは本心を吐露することができたのです。
朱鷺は「眼」の良さを先代当主である緋魅迦から高く評価され、司令塔としての活躍を期待さ
れて当主に就任したのですが、彼女の眼は生命の色に敏感に反応し、土・水・火・風の力を色と
して視ることができるという特性を持っていました。だからどこに鬼がいて、何をしようとして
いるのか(たとえば風属性だったら緑の軌跡が見えていました)をすぐに捕らえることができま
した。しかし、彼女自身の気性の繊細さから、この能力そのものも暴走しはじめ、視界が「血の
赤」に染まったまま元に戻らない、血の幻覚が見えるといったアクシデントが頻発するようにな
りました。
丁度この頃から髪狩が始まり、激化していく戦いの中で、鬼達が次第に不安を煽るようなこと
を言い始め、朱鷺の精神は均衡を崩しつつありました。そんな折に兄・牙竜が急逝。第1子の
龍
馬が来訪間もない頃でしたが、精神的な支柱だった兄の死は朱鷺に重くのしかかります。抱え込
んだ不安と絶望を受け止めてくれる人がいなくなってしまい、朱鷺はとにかく兄に会いたい、と
切望するようになりました。
牙竜は氏神になっていましたが、会うためには交神するしかない。しかし朱鷺にとって兄は兄
であり、交神相手という異性ではありませんでした。兄を氏神として天へ送ったのは、自分が交
神するためでも後々のためでもなく、ただ兄が天にいて自分達を守ってくれる、ということが少
しでも自身の喪失感を和らげてくれるのではないか、と思ったためでした。
精神が崩壊していくことすら、その責任感の強さから皆に知られまいとしながら、彼女が葛藤
の末に生み出した結論は第2子の交神相手を鎮守ノ福郎太――兄の親神にすることでした。朱鷺
は下界に降りる際、亡き母・輝夜から託された言葉を自分に伝えるために自現れた福郎太のこと
をよく覚えていたこともあり、大好きな兄を育んでくれた神と交神することで、生まれた子の中
にその面影を見出そうとしていたのでした。
一族との二度目の交神に臨んだ福郎太は、輝夜の面影を遺した娘が母親とは全く正反対の暗い
影をその顔に落としていることに驚きました。「安心しろ、俺が守ってやる」という言葉は、彼
の本心から出た言葉です。
そして、皮肉なことに、一縷の望みを託して交神した末に生まれた子は、鬼のような角を持つ
娘・
伽羅でした。自分達は神様に利用されていたのか、そのうち鬼になってしまうのか。その瞬
間、はりつめていたものが全て切れ、朱鷺の心は閉ざされてしまったのです。
伽羅が来訪した最晩年は完全に精神が崩壊し、伽羅を見かけると危害を加えようとするため、
一族たちによって自由に歩き回れないよう蔵を改造したところに幽閉されて、生涯を閉じました。
朱鷺の魂は本来そのまま兄に会いたい、という思いにとらわれたまま下界を彷徨う運命にあり
ました。しかし、彼女自身が氏神に足る能力、特に眼に宿っていた力を太照天昼子が高く評価し
たため、魂寄せお蛍に導かれ、朱鷺を案じてお蛍をのもとを訪れた福郎太と牙竜によって正気を
取り戻すことができました。朱鷺に氏神の資格がある、という話を聞いた当時の当主で朱鷺の子
である龍馬は、当初「ああいう亡くなり方をした方の魂を氏神にしてどうするのか」と難色を示
していましたが、牙竜と福郎太が昼子を通じて「朱鷺を是非氏神に」と口添えをしたため、龍馬
も了承し、氏神「花芯日下部」として天界へ迎え入れられました。後に一族と交神し、生き残り
面子である焔・赤斗兄弟を日下部家にもたらしました。
彼女の眼が持つ能力は、彼女の子である龍馬と伽羅には発露しませんでした。しかし、龍馬の
子である
蘇芳には「殺意」の部分にだけ特化して現れ、氏神後にもうけた赤斗には朱鷺が生前持
っていた能力そのままが受け継がれることになりますが、それはまた別の機会に。
朱鷺の心は氏神となって兄や福郎太が傍にいる環境で平穏を取り戻し、新たに二人の子の母と
なったことでそれなりに幸せになったとは思いますが、牙竜はあくまでも存在としては「兄」で、
福郎太とも発展しなさそう(この出来事の関係者であるという時点で朱鷺の方がまず後ろめたさ
から一歩引いてしまいそうだし、福郎太が朱鷺へ抱いている感情も「輝夜の娘」なので)だな
あ…と同人誌のあとがきで呟いたら、ほんとに縁談話が来たので驚き喜びました。言ってみるも
んだ!(えー)
「明日もあさっても、お前たちは鬼と戦いに行くんだよ。いいね、昨日と同じようにだよ」
骸羅 がいら(1026年6月〜1028年2月)
土髪・水目・土肌 指南書右1下1
剣士
緋魅迦の息子。第一印象は、「この上目遣いがミョーにひねてるなあ」でした(え)。この
顔、御鏡では火髪火目風肌で生まれてきたのですが、そっちでは打って変わって「え、この子こ
んなに精悍な顔だったっけ」とプレイヤーを驚かせたので、多分土髪土肌だったために水目だけ
が強調されて、全体的に印象がぼやーとなってしまったせいではないかと思います。
母親の緋魅迦は凄く強かったんですが、骸羅はなんだか素質がイマイチだったため、討伐先で
活躍した印象は特にない子でした。名前の由来は銀河戦国英雄伝ライの
あの人ですが、あっ
ちとはまるで正反対の頭脳派だったみたいです(笑)。
同人誌『華の色は』の中盤、『相ひ思ふ華』の序盤で登場。武人として抜きん出たものはそれ
ほど持っていなかったのですが、博識で母譲りの思慮深さを持った討伐隊のブレーン。みんなが
頼りにする存在でした。それゆえ2ヶ月年上で憎からずも思っていた
朱鷺が、内面の辛さを押し
隠して戦ってきた末に精神を崩壊させてしまったことについては、自分に何かできなかったのか、
と自責の念にかられていました。事実、緋魅迦が朱鷺ではなく
牙竜を後継に指名していれば、牙
竜は間違いなく繊細で戦いに不向きな妹よりも骸羅の人柄が適任と判断して当主を託してきたと
思うので、結果は全く違うものになったはずです。
朱鷺が錯乱した後は人柄をかわれて当主代行を務めてきましたが、朱鷺が鬼の子だと思い込ん
で危害を加えようとする
伽羅の身を守るために、「朱鷺を閉じ込める」と決断したのは骸羅です。
憎からず思っていた幼馴染をそのように処置する、というのは、並みの精神力ではできないこと
ですが、骸羅自身はあまりにも理性的すぎる自分のそういう部分を嫌っていました。
日下部家では顔の模様は戦化粧扱いのため、彼の顔の縦線も討伐先ではお目見えするのですが、
在宅中はすっぴん(笑)です。そのため、在宅の場面でしか登場しない同人誌『相ひ思ふ華』で
は、「誰この人」みたいな顔になっていました(え)『華の色は』でもほとんど在宅での場面し
かなく、一部よーくみると戦化粧状態の彼を小さく見ることができたりするんですが、多分誰も
気づいてないですね(笑)。
最期の台詞は、個人的に日下部家屈指のかっこよさだと思います。最期まで理知的でクールな
彼らしい言葉でした。
「道はまだ半ば…俺は道しるべとなり、遠ざかるお前たちの背を見送ろう」
伊織 いおり(1027年1月〜1028年7月)
火髪・水目・水肌 指南書右3下5
槍使い
通称いおりん(え)。
霧香の息子、日下部家初の男槍使い。氏神化した
樹がパパであるため、
飛
炎の血が出たのか赤い髪に青い目。そしてこれも飛炎の血のせいか、技力が486になり、9代目の
飛炎をようやく(ほんとにようやくだな…)抜いて技力自慢1位に昇格しました。顔+男の槍装
束姿がかなり気に入ってたので、当主不在の時は彼が必ず出撃隊長でした。強かったし。
竜神刀が後半になると手に入らないことを知らなかった(泣)ため、当時だいぶヘボヘボだっ
た剣士に代わって大活躍していて、大好きな息子でした。
同人誌『華の色は』の中盤、『相ひ思ふ華』の序盤で登場。『華の色は』では初陣を迎えて間
もない少年、『相ひ思ふ華』では成人した後の姿です。
戦闘能力に反して気性は朗らかで頼れるお兄さん、ムードメーカー的存在。ですが、この時期
は鬼たちが不安を煽るようなことを言うわ、当主だった
朱鷺が精神を病んでしまうわで日下部家
の暗黒時代でした。その中で、一族をなるべく元気付けようと奮闘していたせいか、今わの際の
言葉は涙を誘いました。あなたも色々抱え込んでいたんだね…(涙)。
「体の疲れは休めば取れる。だけど心の疲れってヤツはなぁ…」